■2003/06/01(日)上海機構の誕生
欧州の冷戦で、二分していた北大西洋条約機構(NATO)とワルシャワ条約機構のうちソ連を盟主とするワルシャワ条約機構は崩壊し、またNATOも当初の役割を果たして変貌しようとしている。上海協力機構は、中共と中央アジア4カ国のあいだでおこなわれていた上海5の拡大版ということになる。
下記の記事中では、上海協力機講とあるが誤字であるかは確認してない。ここでは上海協力機構と記す。
(引用開始)
<上海協力機講>中国、ロシアなど6カ国で発足へ (毎日新聞-全文)
2003年5月29日(木)19時17分
【モスクワ町田幸彦】中国、ロシアと中央アジア4カ国でつくる上海協力機講の首脳会議が29日、モスクワで開かれた。6カ国首脳は同機講を国際組織として正式発足させる合意文書と政治宣言に調印する。本部事務局を北京に置き、初代事務局長に中国の張徳広・駐露大使が就任する予定だ。今後、反テロ対策に重点を置く地域機構として活動を本格化させていく。
中国の胡錦涛国家主席は首脳会議で「イラク戦争は基本的に終わったが、新しい平和秩序のあり方について答えを出していかねばならない」と述べ、安全保障上の協力が必要だと強調した。ロシアのプーチン大統領は、事務局本部と反テロ地域センター(キルギス・ビシケク)の活動を来年から開始できるように準備を開始するべきだと述べた。
上海協力機講の活動は、具体的にはイスラム原理主義過激派のテロ活動を独自に抑えようという狙いがある。中国は新疆ウイグル自治区問題、ロシアはチェチェン紛争、中央アジア諸国は過激派の越境問題などをそれぞれ抱えている。
特にイラク戦争後、米国の影響力伸張を警戒する中露両国にとっては、近隣の中央アジア諸国と対テロでの協力体制を強化する必要性が高まっている。同機講の活動目的には各国の対外政策の調整、経済協力も挙げられているが、最大の眼目はテロ対策にある。
今回の首脳会談では新参加国を迎える機講拡大はテーマにならなかった。モンゴル、インド、パキスタン、イランなどが候補に挙がっているが、当面、機講の組織基盤確立を重視する構えだ。その運営で中国の果たす役割がカギになりそうだ。
関係筋によると、同機講の枠組みには将来、参加国以外に「対話のためのパートナー」や「オブザーバー」なども検討されている。「米国が同機講に何らかの形で関与することを容認する可能性もある」との観測も出ている。
[毎日新聞5月29日] ( 2003-05-29-19:17 )
(引用終了)
上海機構は、イスラム原理主義者のテロに対すると同時にアメリカ合衆国の中央アジア進出に対するものであるが、対テロの名目を持つ以上はアメリカの中央アジア進出をくい止めることはできないという二律背反を抱えている。そのためそれほど強い効力を発揮することはできないのではないか。機構の加盟国を増やすにしても対テロ・反米の要素を満たせる大陸国家はパキスタンぐらいだろうか(それもむずかしい)。
どうも上海の名を冠しているもののあまり中共に利益があるようにも思えないのは、ロシアの利益の方が大きく思われるからだろうか。上海機構がある限りは、中共はシベリア(沿海州含む)に進出するのをためらうかもしれない。そうなればロシアは、心置きなく中央アジアに力を注げる、という理屈も成り立つからだ。まして朝鮮半島情勢が急変して北朝鮮消滅→日米軍が満州をうかがうとなれば、上海機構などに関わっている暇がなくなるのが中共の痛いところである。
ちなみに満州こそ中共の、本当の意味での出発点である。共産党は、中原をほぼ征服していた大日本帝国の遺産である満州を手中にすることで国共内戦に勝利したからである。