■ニュースコメント[ 2003年06月分 ]
経済ニュースコメントのバックナンバーを保存したいと思います。とくに地域経済のコメントを重点的にしていきます。
ニュースソースは主にNIKKEI地域経済から引用しています。
リンク切れの場合を考慮して全文引用しています。
■ブランディングは仮説と実践と検証をくり返す[ 2003年06月26日 ]
■ブランドとは伝統と革新である[ 2003年06月19日 ]
■フランチャイズ御指南賜る[ 2003年06月12日 ]
■タイムマシンにお願い[ 2003年06月10日 ]
■滅びしドードーへのレクイエム[ 2003年06月05日 ]
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■ブランディングは仮説と実践と検証をくり返す[ 2003年06月26日 ]
ブランドの作り方を検証すると欧米と日本の違いがわかる。
欧米では仮説を構築してブランドをつくる。
日本では日々の実践からブランドをつくる、とわかる。
(引用開始)
「京都」ブランド向上へ、官民で取り組み相次ぐ
【近畿】2003/03/07 NIKKEI地域経済より
人気の「京都」ブランド力を高めるため、表示や認定基準の厳格化に取り組む試みが相次いでいる。京都府豆腐油揚商工組合(京都市、平井正春理事長)が京ブランド認定制度を始めたほか、京都府も2003年度からブランド京野菜倍増戦略事業に着手する。明確な基準を設定して安全性を消費者に訴える一方、ブランドの乱用をけん制する狙いもある。
京都府豆腐油揚商工組合は京都府と共同で、京ブランド認定食品「京都吟味百撰(せん) 京とうふ」として6社の6つの商品を選んだ。(1)国内産大豆を100%使用(2)凝固剤を利用せず、にがりか古くから使っている硫酸カルシウムを使用(3)一定以上の豆乳濃度がある――の3点が選定基準だ。
久在屋(京都市)の「京都の地豆腐」は丹波産の大豆と丹後の海水にがりを使用。450円する高級品だが、1月に京都市内の百貨店で販売したところすぐに品切れしたという。
(引用終了)
ブランドをつくるということをブランディングというが、それは如何にしておこなわれるのであろうか。また欧米や日本によってブランディングの違いはあるのだろうかという疑問も出てくる
ブランディングが伝統と革新の過程にあるならば、目的合理的に伝統を取捨選択して革新していく作業のなかには仮説と実践と検証のくり返しがあらわれる。それらは過程である以上は、任意の箇所を出発点とすることができる。そこで仮説重視と実践重視のふたつの立場に大きく分かれる、と考えてみた。そのふたつをモデル化してみると以下のような類型になるのではなかろうか。
仮説重視のブランディングでは、ブランドの要素となる機能性をひとつの概念(コンセプト)に適合する形をとり、集約(取捨選択)させていくことで商品・サービスがリリースされるまでに機能性を高め、その概念にしたがって無理なく美的修飾としてのデザインを施すことができる。
実践重視のブランディングでは、ブランドの要素となる機能性をひとつの製品(プロダクト)に組み込んだあとに、集約(取捨選択)をはかっていくことで商品・サービスのリリースごとに機能性を高め、おぼろげながら概念が見えてくると同時にデザインにおいても美的収斂をはかっていくことができる。
このようにふたつの立場を説明していくと、仮説重視のブランディングは欧米に多く見られる手法であり、実践重視のブランディングは日本に多く見られる手法であることがわかるだろう。
欧米の場合、思想であれ理論であれ構築された仮説が高度な体系と一貫性を有すると、フィクションのノンフィクション化とも云うべき一見とんでもないが本当の新機軸が打ち出されることがありうる。地球温暖化の問題に端を発して、二酸化炭素の排出権を取引するなどの奇抜なアイディアを実現させたことがそれにあたる。
しかし、一度決まった仮説(または革新的な概念)によって社会制度が定められたときに、その制度には及ぼせる限界があることを意識的にも社会的にもなかなか認めることができない。
悪しき訴訟社会では、人の作為によってつくられる制度に対する態度を拡張して、社会全体に人の作為を及ぼすことができる、と誤認しているわけだ。共産主義にせよ資本主義にせよ、それらに対する頑迷とすら思える一貫した態度にあらわれ尊ばれもする。
逆に日本の場合、不条理であれ非効率であれ伝統的社会が長期の慣行によって存続していると、非合理の合理化とも云うべき関係者以外は眉をひそめるような非常識の常態化現象が起きうる。作業効率・利益確保に端を発して、マニュアルを逸脱したあげく臨界事故を起こしたしまったJCOのケースがそれにあたる。
悪しき前例主義とは、人の作為によってつくられるはずの制度を付与の自然状態と同一である、と誤認するところから起きるわけだ。またそこでは高度な体系と一貫性自体は天然・自然にあり、人の側にはないのでその場限りの実際的な対応で充分とし尊ばれもする。
しかし、日々の実践のうちに従来の仮説(または自然と化した伝統)を覆すケースが起こるときは、これまた自然の流れであるからそのブレークスルーを抵抗なく受容するのである。この場合に面白いのは結果、欧米では概念上ありえないと排除していたものを難無くクリアしてしまうことがありうるからである。
このようにブランディングの手法には、仮説重視と実践重視のふたつの立場があり、欧米と日本の文明論的な違いもあらわれてくる。
さて、ここまでのまとめである。ブランディングは目的合理的に伝統を取捨選択して革新していく作業の過程である。その過程は仮説の構築と日々の実践と全体の検証とに分かれる。過程である以上は任意で仮説重視のブランディングと実践重視のブランディングとに立場が分かれる。仮説重視のブランディングは欧米に多く見られ、概念からデザインにいたるまでの一貫性がある。実践重視のブランディングは日本に多く見られ、製品から概念・デザインへと波及していく実際性に富んでいる。どちらのブランディングにも文明論における認識の違いから来る一長一短があるが、どちらの手法に対しても理解と親しみを持つことは良いだろう。
参考URL
京ブランド認定の豆腐を製造販売:久在屋
■ブランドとは伝統と革新である[ 2003年06月19日 ]
京都では伝統を活かしたブランディングがおこなわれている。
伝統とはブランドといかなる関係を持つのか。そもそもブランドとはなんであろうか。
(引用開始)
デザイナーと丹後のVB、着物の柄使うバッグシリーズ開発
【近畿】2003/02/22 NIKKEI地域経済より
京都市出身のデザイナーと京都府北部の丹後地方にある染色加工ベンチャー企業(VB)が組み、着物の柄を使った若い女性向けバッグのシリーズを開発した。展示会を26日から大丸京都店で始め、東京のプランタン銀座、大丸東京店を巡回する。
開発したのはデザイナーでアパレル企画のソールワーク(東京・港区)の古野雅子社長と染色加工のワイケイ染職(京都府弥栄町、大下倉裕介社長)。
バッグは古野社長が探した古い着物の柄をワイケイがポリエステルの生地にプリントした。京都の染色技術や美意識の伝統を生かしながら、洋服に合うようにした。
ソールワークは1996年ごろから、着物の柄を使ったバッグを企画してきたが、国内外で和風のファッションが最近流行してきたため、初めてシリーズ化した。バッグは25種類あり、5800―4万2000円。
(引用終了)
ブランドとはなんであろうか。これがすべての問いのはじまりである。だれしもブランドと云う言葉それ自体にまで甘美な響きを感じる向きはいまい。しかし、それはなんらかの商品やサービスに付随していることはたしかだ。そこで自社ブランドの構築はすべての企業の切なる願いともなる。
消費者にしても同じような願いを抱いている。いかなるブランドにせよ“ドルチェ・ヴィータ”を約束するのがいかに幻想であっても、ブランド品のいずれかに消費者は対価を支払っているからだ。そのいずれかの部分とは実在なのであろうか、と思うとき、それこそ幻想であって幻想ではないが、幻想のように危うい信用と交換していることに気づく。
その信用は、信頼と機能に分解される。まず消費者は、購入する商品・サービスの機能が蓋然性を持っているであろうことを当然に考慮する。しかし投企する(購入すること)にはどこまでも不確実の可能性(購入が失敗すること)を排除することはできない。その投企の最後の不確実を補ってくれるのがその商品・サービスを提供する企業に対する信頼なのである。こうしてブランドは、信頼と機能によって成立するとともに企業の信用になるのである。ブランドは、企業の信用を表す指標でもある。
企業の信用でもあるブランドを信頼と機能に分けたとき、どちらがニワトリかタマゴかという疑問も浮かぶ。それが循環論法になる以上は意味のないことと思われがちだが、密接不可分の問題は往々にしてそのような傾向を帯びてくるので致し方ない。論をすすめていこう。
企業の商品・サービスまたは拡大して企業全体とそれを指し示す企業のアイデンティティまでに対して、消費者が信頼することによって、それらはロイヤリティの対象となる。ブランドはそのロイヤリティが伝統になったものとも言える。ではその伝統の出発点となる事象はなんであろうか。それは信頼を産み出す源泉でもあろう。
そうして企業に対する信頼を事象の出発から捜すと、つまるところその企業またはその商品・サービスが持つ革新性に起因する。ある画期的な商品・サービスが消費者を獲得するとしよう。その商品・サービスの革新性が、伝統として継続することで信頼感が醸成され、最終的に企業のアイデンティティにまで信頼感が及ぶに到り、消費者のロイヤリティが形成される。これがブランドの形成過程となろう。すなわちブランドの崩壊過程はこの逆と考えれば良いこととなる。
さてここまでのまとめである。ブランドは例外を除けばいずれかの企業の信用に還元される。その信用は信頼と機能に分解される。その信頼が(消費者の企業に対する)ロイヤリティとして伝統になり、その伝統は革新的な機能に起因する。ニワトリかタマゴかという話と同じく伝統と革新は過程そのものである。ある伝統の出発点としての革新を認識するときその背後にある膨大な伝統と革新が連続する蓄積に気づくからである。そのため伝統と革新こそがブランディングの基本となる。伝統を取捨選択したり、革新を見い出す目的合理性がブランディングの姿勢には欠かせないであろう。
参考URL
京都の着物の柄を使ったバッグを開発:ソールワーク
■フランチャイズ御指南賜る[ 2003年06月12日 ]
建設業からの飲食業参入とそれを助けるフランチャイズ支援の経営コンサルタントについて考える。
(引用開始)
建設のヤマウラ、飲食店事業に参入
【甲信越】2003/04/24 NIKKEI地域経済より
中堅ゼネコン(総合建設会社)のヤマウラは飲食店経営業に参入した。このほど長野県松本市に1号店を開店、年内にさらに2店舗を出す。主力の建設事業は市場環境が悪化。「公共事業や企業の設備投資の減少に比べ、個人消費の下落は緩やか」と判断し、外食事業を含むサービス部門での拡大で本業を補完する戦略だ。今後、首都圏、中京圏にも店舗網を拡大する。
ヤマウラは今月初旬、松本市芳川村井町の国道19号沿いに、郊外型居酒屋「とりあえず吾平」を開いた。店舗面積約300平方メートル、客席数124席。食事、アルコールともに1品の価格は300―400円台が中心で、1人当たりの客単価は2500円前後。1年目に約1億3000万円の売り上げを見込む。
同社は昨年6月、「吾平」をフランチャイズチェーン(FC)展開するワイ・アリーバとFC契約を結び、松本市、東京都町田市、同八王子市にFC加盟店を出す権利を得た。9月下旬に町田市に松本店と同規模の店を出し、年内に八王子市にも出店する方針。
(引用終了)
建設業界が公共事業削減に揺れている。国の平成14年度予算で公共事業費は10%削減され、今後も減ることはあっても増加に転じることはないだろう。GDPの2割を建設業が占めた「土建国家」の終焉を慶賀とする向きもあろうが、喫緊の課題としてその2割の食い扶持をどこかで埋め合わせしなければならない。そのために異業種に参入する建設業者があらわれてくるのも道理である。市場が拡大傾向にある介護福祉分野、地場の農業・林業分野、キャッシュフローに適した飲食業などに進出する事例があるが、最大のネックになるのはやはりノウハウではなかろうか。1)
さらに建設業の各分野への進出を検討してみると、とくにノウハウ面で厳しいのは飲食業である、と思われる。
介護福祉では、介護保険制度の導入によって市場が拡大傾向にあり、ノウハウの乏しい新規参入組でも充分なチャンスが与えられている。農業・林業では、企業による農地取得に制限はあるものの過疎化と後継者不足のために新規参入は地元に歓迎され、ノウハウの供与も受けやすいだろう。
このふたつにくらべて飲食業は、一般的に投資の回収効率が良いために競争も激しくノウハウがないとまず生き残れない。一般消費者を対象としてこなかった公共事業主体の建設業にとっては180度の転換であるだけに成功は至難の業である。
これが異業種から飲食業への進出を助けるコンサルティングがあらわれてくる背景であり、建設業でもこれらのコンサルティングから飲食店に関するフランチャイズ支援を受ける事例が出てきたのである。
長野県の中堅ゼネコンであるヤマウラは、ベンチャー・リンクと提携しワイ・アリーバの郊外型居酒屋「とりあえず吾平」のフランチャイズとなった。また福岡県にある日本乾溜工業は、同様に「とりあえず吾平」のフランチャイズとなり、またそれ以外にも際コーポレーションの「紅虎餃子房」のフランチャイズとなったのである。このふたつの異業種参入組に共通しているのは、ベンチャー・リンクとの提携である。
ベンチャー・リンクは、経営コンサルタントの日本LCAの関連企業である。当初は、中小・中堅企業のデータベース化による業務支援を目的として設立された。そののち、1995年に支援していたベーカリーレストランを手がけるサンマルクの店頭(現JASDAQ)公開を契機に、フランチャイズの支援事業へと転換し、業績を伸ばしていくこととなる。
ベンチャー・リンクの支援によって上場した企業には、サンマルクのほかに中古車販売のガリバーインターナショナル、タリーズコーヒージャパン(現:フードエックス・グローブ)、焼肉チェーンのレインズインターナショナル、居酒屋チェーンのワイ・アリーバなどがある。
ではなぜ、経営コンサルタントのなかでもフランチャイズ支援に特化したベンチャー・リンクが急成長したのだろうか。また単なるフランチャイズ・ビジネスを展開するベンチャー・リンクが、コンサルタントの部類に入るのだろうか。そもそもコンサルティングとは、問題を提起された企業の内在する性質から戦略を構築することである。
しかし、戦略はあくまでも仮説のモデルにすぎない。実践する過程で修正されていくものであるから、企業の戦略を構築するアプローチだけでは、もともと概念の苦手な日本企業にはそぐわなかった面がある。それにくらべてフランチャイズ支援は、仮説であるビジネスモデルをある程度実践した段階で顧客に提供される。すなわち修正済みの戦略であり、そのフランチャイズを契約する企業にとってはリスクが少ないのである。
つまりベンチャー・リンクの競争力の源泉は、フランチャイズ店鋪の概念(コンセプト)をつくり、店鋪運営(チェーンマネジメント)で提起される問題の検証過程で得たノウハウをして、新たなフランチャイズ店鋪の概念(コンセプト)にフィードバックできる点にある。その点でやはりベンチャー・リンクはコンサルタントなのである。
一方、フランチャイズ支援を受ける顧客となった企業は、その運営ノウハウを与えられることですぐに成果を得られるが、それらを新たな戦略へとフィードバックする契機が弱い場合が多い。その契機は、往々にして企業そのものに内在した性質だからである。そのために顧客に対するコンサルタントとしてのベンチャー・リンクの優位性は保たれているのである。
参照コメント
フランチャイズについてはこちらのコメントも参照
企業がフランチャイジーになる理由(03/04/15)
参考URL
「とりあえず吾平」フランチャイジー:ヤマウラと日本乾溜工業
フランチャイズ支援コンサルタント:ベンチャー・リンク
ベーカリーレストランほかを展開する:サンマルク
外食から雑貨までを展開する:際コーポレーション
引用URL
1)NHK 21世紀ビジネス塾から:
大量失業は防げるか〜公共事業削減に揺れる建設業界〜(02年04月20日放送)
公共事業激減の衝撃〜地方の雇用は守れるか〜(02年09月14日放送)
■タイムマシンにお願い[ 2003年06月10日 ]
愛媛県内の企業のwebサイト開設は、26.7%にとどまっているという調査結果がある。首都圏・大都市圏以外の地方では似通った状況ではなかろうか。そしてそこに、いまだビジネスチャンスがあると考えられる。
(引用開始)
愛媛県内企業の自社HP開設は4社に1社
【四国】2003/05/07 NIKKEI地域経済より
えひめ産業振興財団(麻生俊介理事長)がまとめた愛媛県内企業の情報技術(IT)化実態調査によると、回答企業のうち自社のホームページ(HP)を開設しているのは4社に1社にとどまっていることが分かった。同財団では開設の比率が全国平均を下回ることから、地元の非営利団体と連携して今月半ばから企業の情報化推進事業に取り組む。
調査は県内の1万社を対象にアンケート方式で実施、うち9.8%が回答した。
HPを開設しているのは回答企業の26.7%。地域別に大きな違いはないものの、従業員51人以上の企業では6割が開設しているのに対し、50人以下では2割台にとどまった。
電子商取引に取り組んでいるのは、企業間取引が7.4%、対消費者取引が5.4%で、9割近くが「行っていない」と回答した。
(引用終了)
ソフトバンクの孫正義氏が“タイムマシン経営”というコンセプトを標榜していたことが一時期あった。情報革命における技術革新の日米の時間差を利用して、アメリカでスタンダードとなったビジネスモデルを日本に移植しようとする戦略である。
最新流行の文化が中央から辺境に伝播していくのは古今東西変わらない法則であり、先進的な事例を情報として媒介するのみならず、合弁の事業として持ち込むことは文化的軋轢の弊害を除けば妥当なものである。
ただし情報革命の大きな成果が一巡、その進展が鈍化し、定着する過程で深化しようとしている2003年の現在では、IT技術における“タイムマシン経営”の速度も世界的には減速して、その効力も劣化せざるを得ない。
収穫のあとで落ち葉拾いをしている段階であり、もはや日米の格差は縮小しており、ソフトバンクの規模では利益とするところがないわけだ。しかし日本国内の中央と地方の格差は温存されており、個人・中小企業の規模であればまだ“タイムマシン経営”の戦略は充分な有効性を持ち、利益をもたらしてくれる、と思われる。
愛媛県内企業のサイト開設が4社に1社にとどまっていることもまたビジネスチャンスの傍証となる。企業PRからリクルーティング、販促から販売にいたるまで外に開かれたサイトの有用性を説明できれば、まずは顧客の興味を喚起できる。運営のコストさえクリアできれば開設する企業は地方でも増えるだろう。
たとえばITにかぎったことではないが、地方出身者が都市圏で専門の教育を受け、就職して経験と実績を積んだあとUターンして起業することはこれからもあるだろう。そして格差は常につづくものであるから、その点を意識しつづけるかぎり起業後の維持はそれほどむずかしい話ではない。
すなわち、地方における“タイムマシン経営”の蓋然性は、ビジネスモデルとIT技術にかぎらず、すべての文化レベルの移植において共通したものである。もっとも“タイムマシン経営”のもたらす副作用を考えるならば、日本を中央である欧米に対する辺境と規定するまでもなく、日本国内の中央と地方(辺境)の関係性を類推するとき、地方(辺境)の植民地化の危険性が浮き彫りにされる。地方には、情報に呑まれずいかに独自性を保つかが問われることになるだろう。
参考URL
ベンチャー支援から技術開発まで:えひめ産業振興財団
■滅びしドードーへのレクイエム[ 2003年06月05日 ]
飛べない鳥(走鳥類)を家畜にすることでほかにはない特産品をつくろうとする試みがおこなわれている。
(引用開始)
農業VB、特区でダチョウ肉を生産
2003/05/21 NIKKEIベンチャーより
政府が推進する構造改革特区で、農業ベンチャー企業が新事業を始める。オーストリッチヒル(神奈川県相模原市、田所伸穂社長、042・761・2421)が同市の「新都市農業創出特区」で食肉用のダチョウ肉を今夏から生産する。農業協同組合から農地を借りて、桑の葉を飼料にして生産、8月から市内の旅館に出荷する計画。オーストリッチヒルは昨年4月に発足した有限会社。現
行の農地法は、農業経営のための農地取得を農業生産法人に限って認めているが、特区では有限会社や株式会社など農業生産法人以外の企業も農地を借りて農業ができるようになった。
同社は5月に6618平方メートルの農地を借りて、ダチョウ飼育を始めた。農地の一部は飼料作物の栽培用に充てる。特区を利用することで広い農地と飼料の確保ができたという。
独立行政法人の農業技術研究機構畜産草地研究所(栃木県西那須野町)と協力して、桑の葉を飼料に使う。脂肪分が少なくカロリーが低いという。 (5/21)
(引用終了)
絶滅してしまった鳥にドードーというのがいる。『不思議の国のアリス』の挿絵で、クローケーという球技をしている姿からぐらいでしか想像できないが、なるほど鈍重そうである。人間の持ち込んだ猛獣から、逃げも隠れもできそうにない。
飛べない鳥ほどユーモラスでやがて哀しきものはない、という典型である。しかし、ニワトリなどは家畜となって人間に飼養されている。もちろん、あれはあの大きさだから扱えるのであって、ドードーのような姿形と動きでは持て余すことは違いない。それでも、怪鳥に等しいそれらの走鳥類を家畜として飼いならすことが出来たなら、その珍奇さからもその地の名産・特産品になることも違いない。
そうした珍奇な発想から、ダチョウやオーストラリア原産のエミューを家畜にしようという物好きな企業家もあらわれてくる。よしんばこれが産業として成立すれば、食肉と卵から皮革や羽毛とそれらの加工品にいたるまで、ほかに類例のない商品を製造・販売できて、牧場見学を中心とした観光客も集まる。町が潤い経済が循環していくのだ。
生態系から切り離されて牧場に囲われた飛べない鳥たちが、その地域の経済の体系の中心となって飛躍させることができれば、滅びしドードーへのせめてものはなむけではなかろうか。エミューの飼養については、北海道上川郡下川町でおこなわれている。
参考資料
『アントレ独立事典2001』
リクルート・発行
平成13.2.11