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■ニュースコメント[ 2003年04月分 ]

経済ニュースコメントのバックナンバーを保存したいと思います。とくに地域経済のコメントを重点的にしていきます。
ニュースソースは主にNIKKEI地域経済から引用しています。
リンク切れの場合を考慮して全文引用しています。

■スーパーマーケットがスーパーである理由[ 2003年04月29日 ]
■場の空気が生み出すブランド[ 2003年04月24日 ]
■日本版“紋章院”をつくろう[ 2003年04月22日 ]
■ビッグブラザーが遍在する[ 2003年04月17日 ]
■企業がフランチャイジーになる理由[ 2003年04月15日 ]
■機能からデザイン、デザインから機能[ 2003年04月10日 ]
■“そばめし”の成功と失敗と“ぼっかけ”の挑戦[ 2003年04月08日 ]
■化粧品は説明商品である[ 2003年04月03日 ]
■変身合体スウィートロボッツ発進せよ![ 2003年04月01日 ]


↓↓ ここからニュースコメントコーナー ↓↓
■スーパーマーケットがスーパーである理由[ 2003年04月29日 ]

スーパーマーケットの定義ならびに基本戦略を理解することで、各小売業態の定義と戦略も理解できるものと考える。またその考察の過程で、再建中のニコニコ堂が採る戦略もおのずと予測できるだろう。

(引用開始)
ニコニコ堂新会社、8月メドに23店でスタート
【九州・沖縄】2003/04/18 NIKKEI地域経済より
民事再生手続き中のニコニコ堂は17日、本体から債務を切り離し、中小型店舗を継承して運営する新会社の概要を発表した。8月をメドにイズミ、取引先などから出資を受け資本金2億―3億円で設立。5月中に直営店のうち不採算の6店を閉鎖、残る熊本県内の23店を約40億円で譲り受ける。
現在のニコニコ堂は不動産管理会社として、新会社への店舗譲渡代金やイズミからの賃料収入などを原資に、今後10年間の債務弁済に専念する。閉鎖するのは大牟田(福岡県)と熊本県内の鏡、上熊本、天水、田迎、城東の計6店。同時に希望退職を募り、正社員約500人のうち35歳以上の150人と、パート400人を削減する。
(引用終了)
さてスーパーマーケットの定義とはなんであろうか。経済産業省の商業統計では、セルフ方式の店鋪を総合スーパー(大規模と中規模のふたつ)と専門スーパー(さらに食品・衣料・住関連)に分類している。もちろん専門スーパーといえども専門店に比べれば、その品揃えは充分にフルラインである。つぎにビジネス書を開く限りでは、専門スーパーのなかの食品スーパーをスーパーマーケットと位置付けている。そして一般人は、というとどれもまとめてスーパーと呼称している。となると、どうやらスーパーマーケットに明確な定義はないらしい。

むしろスーパーマーケットの基本的な経営戦略からの方が定義を把握しやすい。その場合は“(一般)消費者に集中購買(により安値)で(全般的な)消費財を(セルフ)販売・提供するのがスーパーマーケットである”となる。業界の寡占化と消費の沈滞がつづく現在では、これだけの戦略を実行するには当然資本力がいる。たとえばニコニコ堂のようにここから脱落してしまったり、新規参入する小売業にとっては、この定義を分解することで、転換・選択すべき業態の戦略が見えるのではなかろうか。

    スーパーマーケット(特に総合スーパー)の定義・基本戦略
  1. 一般の消費者を対象
  2. 集中購買により安値
  3. 消費財を全般的に扱う
  4. セルフにより商品販売・サービス提供する
すなわちどの小売業態を選択するかの経営戦略を組むときには、スーパーマーケット(以下、特に断りがなければ総合スーパーを指す)の定義を分解していけばよい、ということになる。それは消費者のセグメント化であり、購買トレンドの情報化であり、消費財の特化であり、商品販売・サービス提供の方法論であるだろう。

    各小売業の業態を決定するのに考慮される点
  1. 消費者のセグメント化
  2. 購買トレンドの情報化
  3. 消費財の特化
  4. 商品販売・サービス提供の方法論化
総合スーパーとの対比のなかで、1.の消費者のセグメントを考慮すれば、一般消費者向けに対して富裕層向け(高級スーパー)や業務用向け(ホールセールクラブ)を選択してもよい。2.の購買トレンドの情報化をすすめれば、顧客に提供する基準を安い価格での供給ではなく適宜配送(コンビニ)にしてもよい。3.の消費財の特化に成功すれば、総合スーパーや百貨店ではなく専門店にしても集客や購買に困ることはない。4.の商品販売・サービス提供の方法を模索すれば、セルフ化の対極にコンシェルジェ化があるだろう。

    総合スーパーとその他の小売業態との対比
  1. 一般向けに対して業務向け/富裕層向け
  2. 安値供給に対して適宜配送
  3. 総合に対して専門
  4. セルフ方式に対してコンシェルジェ型
では大体の場合に資本力で総合スーパーに劣る各小売業態の戦略を決定する要因にも簡単に触れよう。1.では地域特性に左右されるだろう。2.から4.では創業時の店鋪規模、構想に大きく左右されるだろう。

最後に再建中のニコニコ堂が採る戦略である。ニコニコ堂は、すでに資本力で敗北しており、そのために1.から4.に及ぶ前述のスーパーマーケット戦略を考慮して再建戦略を構築するだろう。その際にはセグメントは一般消費者に、購買情報は安値供給に、消費財の特化は食品に、商品販売の方法はセルフ方式にシフトするのがオーソドックスであろう。すなわち再建ニコニコ堂は、食品スーパーになると思われる。

参考URL
日本のスーパーマーケットリンク集: JP-Super.com


■場の空気が生み出すブランド[ 2003年04月24日 ]

天鏡閣という皇族の旧別荘をブランドとして活用しようとする福島県の試みの一助となるように、明治神宮や小笠原伯爵邸のようにブランドとして活用している例を分析してみる。それはさながら場の空気が生み出すブランドと言えるだろう。

(引用開始)
福島県観光開発公社、薬膳パン2種類を今月末から販売
【東北】2003/04/12 NIKKEI地域経済より
福島県観光開発公社(理事長・川手晃副知事)は福島県産の食材を使用した「薬膳パン」2種類を開発、今月下旬から猪苗代湖畔にある国民宿舎内のレストラン、ショップなどで販売する。国の重要文化財に指定されている天鏡閣にちなんだブランド商品づくりの一環で、薬膳パンは年間2万個の販売を予定。
開発した薬膳パンは「赤餅(もち)ケレーパン」と「赤餅あんぱん」。いずれも温めて食べる。「ケレーパン」は同公社が2年前に開発した「天鏡閣ケレー」をベースに、押し麦、はと麦などの五穀を加えた具を、米と小麦のパン生地が包む和風カレーパン。カレー具の中には磐梯山麓で栽培された古代米の餅が入っている。販売予定価格は300円。
「赤餅あんぱん」はオーガニックあんと古代米の餅を米と麦のパン生地で包み、焼き上げた。販売予定価格は230円。
(引用終了)
福島県は会津・表磐梯の秀峰を映す猪苗代湖のほとりに古い洋風の木造建築・天鏡閣がある。この地の風光明媚を愛した有栖川宮殿下の別荘として、明治41年に建てられた。その天鏡閣なる名前は、李白の句『明湖落天鏡』から大正天皇が直々に命名されたものである。また昭和天皇と香淳皇后両陛下が新婚旅行に1ヶ月ほど滞在されたことでも知られる。戦後は福島県に下賜されたのち国の重要文化財に指定され、国民宿舎「翁島荘」の一角において一般に公開されている。これを管理する福島県観光開発公社では、天鏡閣のブランド化を試みていて、「天鏡閣ケレー」と今回加わる薬膳パン「赤餅ケレーパン」と「赤餅あんぱん」が国民宿舎で提供・販売されている。しかしそれで天鏡閣とその商品群のブランディングが成功するのであろうかという疑問が湧く。

天鏡閣とその商品群のブランディングへの疑問は、大別して3つある。ケレー(カレーのこと)、薬膳パンなどの個々の商品力は申し分ないとしても皇室とのゆかりの深い天鏡閣との連関性としては妥当であるのかということがまずひとつ。博物館的な展示公開のみの空間利用では、天鏡閣のブランド力を向上できないのではないかということ。国民宿舎の一隅に配していては来歴のある天鏡閣との間にミスマッチが起きて、リゾートとしての相乗効果に結びつかないのではないかということがある。

これらを解決するためには、天鏡閣の名を冠した商品群を提供・販売するのに相応の雰囲気(高級感)を醸成すること、天鏡閣を生きた空間として活用していくなかで新しい価値をつくり出すこと、リーズナブルな価格であることを考慮しつつブランドとしての一体感を持たせるために国民宿舎の改築も含めて整合性をはかること、が必要になるだろう。

またこれらの問題の解決につながる天鏡閣のブランディングの参考として「明治記念館」と「小笠原伯爵邸」を例にあげよう。

明治記念館は、明治天皇と昭憲皇太后を祀る明治神宮の一角にあり、憲法記念館としてあった建物である。宗教法人として独立した戦後の財政難を打開するため、当時明治神宮の嘱託であったリコー三愛グループの創始者・市村清の発案により日本初の総合結婚式場として、昭和22年にオープンした。その後は順調に事業拡大をはかり、披露宴に供される料理をもとに外部でのレストラン経営にも進出。これには神宮外苑のSELAN(運営はキハチに委託)などがある。また同じく供される菓子をもとにした独自ブランド「菓乃実の森」を百貨店で販売している。

一方の小笠原伯爵邸は、礼法で知られる小笠原伯爵の邸宅であった。貴重なスパニッシュ様式であるこの近代建築は、戦後東京都に譲渡・使用されたあと老朽化のため放置されていた。その後は修復を含めて民間委託の方針から、表参道にある一軒家カフェの先駆けともいうべきパーティーハウス「バンブー」を経営するインターナショナル青和にまかされた。自宅を改築してカフェを開いたから修復はお手のものというわけである。こうして装い新たに小笠原伯爵邸は、スペイン料理のレストラン、ウェディングなどのイベントスペース、小笠原流マナー教室などの複合施設として、平成14年にオープンした。

この2例ともその建物の来歴を活かしたブランディングの好例である。明治記念館では、当初のブライダル事業からレストラン経営、オリジナル菓子を展開することができ、インターナショナル青和では、当初の自宅を改装したパーティーハウスからレストラン、ブライダルの複合経営へと展開することができた。こうしたブランドの展開は、空間を活かした日々の業務の弛まぬ努力のなかから、雰囲気(高級感)を含めた価値が醸成されたいった結果である。

ここから天鏡閣のブランディングも見えてくることと思う。まず“生きた空間としての活用”をめざすことである。ウェディングなどの祭礼に用いることで、天鏡閣に新たなストーリーを付け加えていくことができる。それは“高級感の醸成”にも役立つ。料理などを供していくなかで商品開発力もおのずと高まるであろう。そして“リゾートとしての一体感”を打ち出していくべきである。天鏡閣のある国民宿舎という名称・設定にこだわらず、リーズナブルな価格とサービスを心掛けることで、天鏡閣の持つもともとのリゾート性を強調していくことで、前述の2例にないブランディングのアプローチがとれるだろう。

云うならばブランディングというのはつねに過程なのである。天鏡閣を訪れる人が、そこで提供される商品・サービスを見たり、使ったり、買ったり、食したりする過程でブランドの価値は高くなる。そうすれば福島県の産品を効率良くブランド化できる場としての役割も持てるだろう。

参考URL
明治神宮が経営する:明治記念館
SELANを運営する:キハチ
インターナショナル青和が経営する:小笠原伯爵邸バンブー


■日本版“紋章院”をつくろう[ 2003年04月22日 ]

極東の島国で家紋による町起こしをするには、西洋のとある島国の紋章への傾倒ぶりを理解しよう。

(引用開始)
家紋で町おこし、栃木県佐野市で活発に
【関東】2003/04/11 NIKKEI地域経済より
栃木県佐野市で、家紋を町おこしに役立てようとする動きが活発になってきた。家紋研究の第一人者で、日本家系図学会の会長などを務める丹羽基二氏が、同市の出身であることに着目。名字や家紋を研究する会ができたほか、商店の軒先に家紋付きの日よけのれんを下げて、統一感のある商店街をつくろうという構想も出てきている。
3月末に、佐野商工会議所(栃木県佐野市、太田正夫会頭)の街づくり懇談会の有志と、郷土史研究家など約20人が集まり、「姓氏家紋の会」を設立した。名字や家紋の由来などを研究する学問的な集まりだ。
一方、市内の商店街を中心に、商店の軒先に、その店の家紋の付いたのれんを下げて、新しい町並みを作り、客を呼び込もうという動きも出ている。今月中にも第一期の会合を始め、2003年度中の実現を目指す。
(引用終了)
イギリスには、紋章院(College of Arms)という紋章を扱う役所がある。伝統を重んじるお国柄らしく紋章院総裁であるノーフォーク公は雀の涙ほどの棒給(年棒49.14ポンド)しか与えられないが、宮中席次では第7位の高位である。紋章院は紋章ばかりではなく式典も司るのだ。その格式の高さが伺える。

紋章には、差異と帰属を表す役割がある。同じ家系でも個人によって紋章がひとつひとつ違う。ようするに『個人』の差異を示すために紋章の数が膨大で、紋章学という学問も発達してきた。日本にも家紋が存在するが『家』への帰属を示すだけでこの点が大きく異なる。

むしろ日本では同じ姓を持った家系でも土着の土地ごとに名字が違ってきた。ようするに『家』の差異を示すために名字の数が膨大なので、姓氏と家紋を結び付けて研究する必要がある。家紋研究の第一人者である丹羽基二氏が、日本家系図学会の会長を務めるのはそのためである。そこで今回丹羽基二氏の故郷である栃木県佐野市に「姓氏家紋の会」を設立する運びとなったわけだ。

家紋を町起こしに役立てるために「姓氏家紋の会」は、イギリスの紋章院と同じように認証機関としての格式を持つべきだろう。古い家紋の正統性を証明できる認証機関には、新しい家紋を決める権限も与えられる。サッカー日本代表選手となったラモス瑠偉、呂比須ワグナー、三都主アレサンドロ。家紋がない彼らのような帰化人に新しい家紋を与えるなどの活動を通して「姓氏家紋の会」の認知度をあげていくのが望ましい。公的ではないと問題が、という向きがあるかもしれないが認証自体には公的なルールがあるが、認証機関には私企業もあるという点を付け加えておきたい。

参考URL
イギリスの紋章を学ぶ:紋章学総合サイト heraldry.8m.com
イギリスの公的機関:紋章院(College of Arms・英語のみ)


■ビッグブラザーが遍在する[ 2003年04月17日 ]

トレーサビリティについて別の角度から検証する。
トレーサビリティについての以前のコメントはこちら
責任の所在、履歴の確認(03/03/06)

食品の安全性と引き換えに内面の安全性を失う危険性をトレーサビリティは帯びているのか?

(引用開始)
食品追跡管理、鹿児島県に130億円の経済効果
【九州・沖縄】2003/04/03 NIKKEI地域経済より
食品のトレーサビリティー(原料、生産履歴の追跡管理)を徹底すれば、鹿児島県に約130億円の経済効果――。日本政策投資銀行南九州支店(鹿児島市)は、ICチップの活用などで消費者が安心できる「情報食品」を販売すれば、価格上昇などが見込めるとするリポートをまとめた。
トレーサビリティーを導入した松阪牛の例などを参考にした。松阪牛はBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の発生後にシステムを取り入れると価格が2倍に上昇。畜産県の鹿児島でも本格導入が進めば、2005年度(2000年度比)にも牛や豚など食肉で8.6%、野菜で15.3%の価格上昇が期待できると試算した。
低価格の輸入産に対抗するためにも、情報開示で消費者の安心感を高めることが必要としている。
(引用終了)
米TVドラマ『逃亡者/The Fugitive』(1963-1967年)は、医師リチャード・キンブルが身に覚えのない妻殺しの容疑をかけられ脱走、ジェラード警部の執拗な追跡をかわしながら、殺害現場から立ち去った片腕の男を捜す、というストーリーである。近年映画化(1993年)もされた。警部が職務に精励するのは褒めるべきだが「追われる者」の意識としては正直勘弁してほしい。もしもトレーサビリティの対象となる製品に意識があれば、リチャード・キンブルと同じ観を抱くのであろうか。

トレーサビリティでの懸念に多いのが、プライバシーの保護である。トレーサビリティのための技術にはまずバーコードが使用されるが、のちには無線ICタグが本命になる。ただしICタグを使用するには、コストの低減や技術的なハードルではなく、プライバシーの壁をどう築き護るのか、すなわち情報はどこまでトレースされるべきかという問題が横たわる。

フィリップ・K・ディックの『記憶売ります』を原作とした『トータル・リコール』(1990年)では、主演のアーノルド・シュワルツネッガーが知らずにインプラントされていた発信器を取り除き、それを使って敵を誘き寄せるシーンがあった。発信器の存在を知り、かつそれを物理的にでもシステム的にでも手中にすれば逆利用することができるわけだ。

ここからトレーサビリティの効用には、追う者と追われる者の位相転換の可能性があるとわかる。ただし企業にとってトレースされた情報を関連づけてインテリジェンスにまで高めるのが困難なように、個人レベルではICタグの情報を取出し、認知し、理解し、加工してカウンターを撃つことは費用や知識の面から容易ではない。もちろんそれら個人をサポートするセキュリティ分野や反対に企業側のマーケティングやサプライチェーンにおいて、ビジネスチャンスが拡がっていることは間違いない。ではプライバシーの侵害で憂慮される本質はなんなのか。

ジョージ・オーウェルの小説『1984年』(1949年)では、ビッグブラザーを頂点とする高度に情報管理化された全体主義国家が登場する。いかなる自由もなく内面まで侵される主人公・ウィンストンは、いつしか恋人ジュリアを忘れ偉大なる兄弟への敬愛を抱く。どこまでも平坦で起伏のない穏やかな世界を手に入れる代わりにすべての可能性を失ったわけだ。

プライバシーをめぐる企業と個人の予測されうる摩擦を考えると、その調停と決裁をビッグブラザーの愛に委ねることは必要だが、神に等しい職権を与えはしないかという疑念を持たざるえない。1)

神(ビッグブラザー)が遍在するユビキタス社会は、内面と外面の峻別によって成立した近代社会を突き崩す可能性を秘めている。防壁は開放されどこまでも侵食される。境界線は廃止され拠って立つところはなくなる。安全だが同時に安心の欠片すらない世界があらわれるのかもしれぬ、それこそ最大の懸念である。

参考・引用URL
1)日経デジタルコア テーマ「トレーサビリティー」から
「トレーサビリティー(追跡可能性)」に関する論点


■企業がフランチャイジーになる理由[ 2003年04月15日 ]

昨今では個人に限らず、かなりの規模の企業でもフランチャイズに加盟して店鋪を持つことが多くなった。その理由と目的を簡単にまとめたい。

(引用開始)
平田牧場、直営外食店をチェーン展開
【東北】2003/04/08 NIKKEI地域経済より
畜産大手の平田牧場(山形県酒田市、新田嘉七社長)は直営の豚カツ専門店のチェーン展開を始める。7月に鶴岡市に出店するのを手始めに、年内にも東京と横浜に本格進出する計画だ。レインズインターナショナルのフランチャイジーとして焼き肉専門店「牛角」を酒田と東京で9店運営してきたノウハウをいかし、首都圏を中心に5年間で100店舗の展開を目指す。
自社開発した外食店舗の名称は「とんかつ 17代 とん七」で、同社で肥育した「三元豚」を使った豚カツ料理がメニューの中心。季節ごとの地元の野菜もレシピに加え、「国産」「自給」「安全」をピーアールして他店との違いを出していくという。客単価は1人1000―1500円を想定している。
同社では昨年11月に東京都調布市に実験店をオープンさせており、ここでの売れ行きが比較的好調だったことから多店舗化に踏み切ることにした。7月開業予定の鶴岡店は郊外型で、店舗面積は100平方メートル、席数は30。目標売上高は年間8000万円。

メディアクリエイト、来期最大20店舗を新設
【中部】2003/04/11 NIKKEI地域経済より
インターネット端末やゲーム機、漫画喫茶を組み合わせた複合カフェを展開するメディアクリエイト(静岡県沼津市、加藤博彦社長)は、来期(2004年5月期)中に最大20店舗を新設する。直営で都内に初出店し、フランチャイズチェーン(FC)で北関東や北海道、九州地域へ進出する。株式公開を念頭に、営業地域拡大で業績と知名度の向上を狙う。
2003年5月期末の予定店舗数は直営21、FC24の計45店。来期は直営で5店舗、FCで10―15店舗を増やす。光ファイバーの高速通信によるオンラインゲームの導入や女性誌の品ぞろえで家族客を取り込むなど、同業他社とサービスの格差を打ち出して地方都市を中心に出店する。
同社は昨年、紳士服チェーンのゴトーから独立。2003年5月期の売上高は32億円の見込み。
(引用終了)

企業のフランチャイジーには、異業種参入のノウハウ取得の目的がある。ただしノウハウ取得後の方向性はふたつある、と思われる。ひとつは垂直統合、もうひとつは事業転換である。垂直統合は、自社製品の供給を目的とする。また事業転換は、自社人員の雇用と収益性の確保を目的とする。

垂直統合の例では、養豚を手掛ける平田牧場がある。炭火焼肉の牛角(レインズインターナショナル)でノウハウを得て、自社のとんかつチェーン業態を立ち上げるに至った。とんかつ店の出店で生産から外食までの垂直統合が実現する運びとなった。

事業転換の例では、紳士服販売のゴトーがある。株式の店頭公開した時点ですでに紳士服業界は飽和状態に入り、業績悪化から収益性のある新規事業への転換を迫られた。レンタルビデオのツタヤ(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)と古本販売のブックオフの展開でノウハウを得て、自社によるマンガ・ネットの複合カフェ業態を立ち上げるに至った。メガフランチャイジーとしてマネジメントを学ぶことで自らフランチャイズチェーン本部になる運びとなった。

メガフランチャイジーには、独自性がないとも考えることはできるが、企業の基本のひとつはマネジメントである。ノウハウを習得してマネジメントするなかから自社にあった新業態を開発することは、充分に可能であろう、と思う。

参考URL
養豚からとんかつ店までの:平田牧場
紳士服から複合カフェまでの:ゴトー
メディアクリエイトが加盟する:日本複合カフェ協会


■機能からデザイン、デザインから機能[ 2003年04月10日 ]

ふたつのアプローチから考える日本のメーカーがブランディングに取り組みやすい製品カテゴリーとは?

(引用開始)
池内タオル、“男のための男のタオル”
【四国】2003/04/08 NIKKEI地域経済より
男のための男のタオル――。一風変わったキャッチフレーズのタオル製品を愛媛県今治市のタオルメーカー、池内タオル(池内計司社長)が5月に発売する。アウトドア用品で知られる米アウトドアプロダクツ社から商品化権を獲得。アウトドアスポーツなどでの使用を見込み、大きめサイズのタオルなどをそろえた。アウトドア専門店など新たな販路の開拓につなげる狙いもある。
サーフボードをくるんだり、車の座席をすっぽりくるめるような大きめサイズのタオルをそろえる。もっとも大きなサイズの「ボード・タオル」は145センチ×180センチで希望小売価格が8000円。色違いを含めて121種類の商品をそろえ、タオル以外にもショート丈のバスローブやミトン、バンダナなどを展開する。黒や青、グレーなどの色にストライプを中心とした力強いデザイン。池内社長は「女性、子供は対象外」と笑う。
(引用終了)
ブランディングのアプローチには、ふたつあるように思う。ひとつは機能→デザイン、もうひとつはデザイン→機能である。機能→デザインは、機能性を極限にまで追求していくことでおのずと機能美=デザインが備わっていく。デザイン→機能は、概念から追求することで機能を取捨選択してデザイン美=機能とのバランスを達成する。いわば前者がドイツ流で、後者がイタリア流といえる。

ドイツ流とイタリア流についてはこちらのコメントも参照
あなたはドイツ流、それともイタリア流?(03/02/17)

アウトドア製品に求められるのは本質的に機能性である。機能性に欠けていると即命に関わるから当然である。そこでアウトドア製品の場合、使い勝手がよく耐久性もよいモノはすべてが合理的に洗練されていると判断され、美しいデザインの典型として認められるのも、むべなるかなである。

池内タオルは、品質と環境への配慮に優れたオーガニックコットンタオルのメーカーとして知られている。今回アウトドアプロダクツのサブライセンシーとなってアウトドアユーザー向けの“男のための男のタオル”を製造販売することになった。池内タオルがアウトドア製品に参入する理由は、池内タオルの性格が機能性の追求に優れているからである、と思われる。

池内タオルに限らず日本のメーカーは、概して機能→デザインのアプローチを取ることが多い。概念から製品のデザインを想定し、機能を取捨選択して全体で構築することには長けていないからである。そのため機能面からブランディングを追求できる製品カテゴリーであるアウトドア製品に、池内タオルは参入したともいえる。もしもブランディングにどうアプローチしてよいかわからない(特にデザイン面で悩む)企業は、アウトドア製品に参入するのもよいかもしれない。

池内タオルについてはこちらのコメントも参照
雑貨にはライフスタイルとなるストーリーがある(03/02/07)

参考URL
愛媛県今治市にある:池内タオル
日本では丸紅がライセンスする:アウトドアプロダクツ


■“そばめし”の成功と失敗と“ぼっかけ”の挑戦[ 2003年04月08日 ]

地元の名物をアピールして街起こしをする自治体は多い。そこでそばめしの発祥地である神戸市長田区の成功と失敗、さらなる挑戦に地元振興の仕組みを考える。

(引用開始)
幸南食糧、神戸長田の新名物「ぼっかけ」使用のコロッケ
【近畿】2003/04/04 NIKKEI地域経済より
関西を中心に持ち帰りコロッケ店「北海くんコロッケ」をフランチャイズチェーン(FC)展開する幸南食糧(大阪府松原市、川西修社長)は4月下旬、神戸・新長田の新名物「ぼっかけ」を使ったコロッケを全店舗で発売する。売り上げの一部を新長田の街づくり機関に還元し、地域の街づくりに役立ててもらう。
「ぼっかけ」はぶつ切りの牛すじ肉とこんにゃくを甘辛く煮込んだ具材。新長田の街づくり機関、神戸ながたティ・エム・オー(ながたTMO)が昨年夏から、地元の新名物として全国に売り込んできた。この具材をコロッケの具に加えた「ぼっかけコロッケ」(1個80円)を発売する。店頭でも「これが神戸長田の味」とうたったのぼりを掲げ、地元密着の店舗イメージを強調する。ぼっかけコロッケの専門店も開設し、知名度の向上を目指す。6月からは冷凍食品をスーパーなどで販売する。
(引用終了)
神戸市長田区発祥のそばめしは、新たな庶民の味として2000年のヒット商品となった。しかしこの『そばめしの成功』にもかかわらず長田区にその利益が還元された形跡はない。そばめしをヒットさせたのは大手メーカーの尽力であり、街のお好み焼き屋で生まれたそばめしには、当然パテントもなければロイヤリティ支払いの義務もなかった。またわざわざそばめしを長田区にまで食べに行きたくなるような観光資源もなかった。街起こしの起爆剤となるようなそばめしのヒットがあっても、受け皿となるような仕組みがなにも準備していなかったのが『そばめしの失敗』といえるだろう。

ぼっかけは、同じく長田区で日常的に食されている牛スジ肉とこんにゃくの甘辛煮込みのことで、うどんに“ぶっかけ”ることから変化してこの名が付いた。かけめしのひとつといえるだろう。

ぼっかけを新たな長田区の名物として定着させようという試みは、そばめしの失敗はくり返させないという挑戦でもある。そのためには全国ヒットから地元還元までの仕組みをつくらなくてはいけない。

その仕組みを見ていこう。まず街の運営を横断的・総合的にプロデュースするTMO(タウン・マネジネント・オーガナイゼーション)である神戸ながたTMOを設立。つぎにぼっかけをヒットさせるための商品開発を全国メーカー主導ではなく地元メーカーとの協力・共同でおこない、かつ新メニューの開発を継続していく。観光客囲い込みのためにぼっかけを使った独自メニューを各飲食店ごとに採用するように促進。また地元還元のために商品からロイヤリティーを徴収することでぼっかけ新商品の開発・街起こしの財源に回すことができる。この一連の流れをつくったきっかけこそ『そばめしの成功と失敗』であるのは云うまでもない。

参考URL
ぼっかけをプロデュースする:神戸ながたティー・エム・オー
ぼっかけカレーを販売:エム・シーシー食品
ぼっかけコロッケをFC「北海くんコロッケ」で販売:幸南食糧


■化粧品は説明商品である[ 2003年04月03日 ]

化粧品市場は魅力ある市場らしく次々と新機軸をもった製品が登場してくる。その一方で業界は常に寡占的であり新規参入を拒むようにも見える。化粧品の本質を探ることで化粧品市場で打ち勝つ秘訣を見い出したい。

(引用開始)
マリーヌ、ナノレベルのコラーゲン入り化粧品販売
【四国】2003/04/03 NIKKEI地域経済より
化粧品などの企画・販売を手がけるマリーヌ(高松市、三崎正郎社長)はナノ(ナノは10億分の1)レベルのコラーゲンを使用した化粧品を販売する。粒子を細胞よりも小さくすることで、肌の深い部分にまで浸透させ、弾力やハリを保つ効果高める。ナノレベルのコラーゲンを配合した化粧品は日本では初めてという。
新製品「ナノフィー」はインターナショナル・コスメチックス(神奈川県秦野市)と共同で開発した。リンクルエッセンス(6000円)とリンクルスティック(2800円)の2品目があり、生協や通信販売を通して売り込む。初年度はスティックは5万本、エッセンスは3万本販売することをめざす。
これまで、コラーゲンはマイクロメートルレベルにしかできず、肌の表皮にとどまっていた。ナノ化すれば、角質層や基底層まで浸透するため、効果が高くなる。ナノ化するには同じ物質同士をぶつけ合わせて粉砕する同体摩擦法を使った。高速回転している別の物質にぶつけて粉砕する従来方法に比べて精度が高いという。
(引用終了)
はじめに恐縮だが早速結論をまとめたい。
    化粧品の本質とは?
  1. 化粧品とは、 説明性を持った商品である。
    説明性は、その機能・使用法によって
    説明内容・頻度などが変化する。
  2. 化粧品には、説明する場所が必要である。
    説明する場所は、限りがあり寡占化されやすく
    新規参入には新規ルートを確保するのが望ましい。
  3. 化粧品には、製品特性がある。
    その製品特性から生じる説明性の高度に従って
    販売の場所を選択・確保する必要がある。
    • 説明性が低い基礎的なケアは、
      コンビニ、ドラッグストア、通販
    • 説明性が中程度の通常のコスメは、
      百貨店、チェーン店、訪販
    • 説明性が高い業務用は、
      美容室・エステ含めたサロン、皮膚科などの医院
化粧品が説明性を持つ、というのはどういうことか? 日本に西洋の化粧品が入ってきた頃、だれもその使い方を知らなかった。ましてや人の肌は千差万別である。成分が場合によっては害をおよぼすこともあるだろう。そこでかならず知識を持った人が、使い方と機能を啓蒙していきながら需要を開拓していく必要が化粧品にはあった。はじめは高級品として百貨店で売られていたものを、全国に広めるためチェーン店によるフランチャイズをすすめる際にも、かならず店鋪のオーナーはカウンセラーとしての役割を担ったのも化粧品が説明性を持っているからであった。

こうして資生堂、カネボウがチェーン店を展開していった。ところがそれ以後新しいチェーン店が登場することがなかったのはなぜか?

どの業界でもそうなのだが、その市場で競争するには大体二番手までに入らないといけない。同じシステムを構築しても充分な収益が見込めるだけの余地がなくなっている場合が多いのが理由だ。ヴァーチャルなネットの世界ですら二番手以降には立錐の余地がむずかしいのだから、商圏が限られるリアルな世界のそれは当然といえるだろう。

そこで新たに化粧品を説明する場所が求められることになる。新規参入する化粧品メーカーは、訪問販売、ホームパーティ販売、MLM(マルチレベルマーケティング)などの無店舗販売のシステムを考えたうえでカウンセラーとなる女性と代理店契約を結んでいった。かくして説明は店鋪ではなく消費者の家でおこなわれることとなった。

こうした店鋪・無店舗販売での説明を通して一般に化粧品の知識が浸透していくと、説明のいらない化粧品が登場するとともに販路も変化していくことになる。日常的な肌のケアをするための基礎化粧品ならば、説明のうち使用法については詳しくしなくてもよいから、成分の安全性(無添加であるなど)さえアピールできれば対面販売である必要はなくなる。そこで雑誌、カタログ、TV、ネットを含めた通販化粧品が脚光を浴びることになり、そこで成功を収めた化粧品メーカーがコンビニ、ドラッグストアにも進出できたのも、その流れにあったからである。

一方で、一般には使用法を説明するのがむずかしい化粧品もある。それがメイクアップ・アーティストやエステティシャンが使うような業務用主体の化粧品である。これらはブランドイメージが高く一般には百貨店などで販売される。最近では皮膚科専門医向けの化粧品も登場している。これらはコンビニで販売される化粧品とは対極にあるといってよいだろう。

化粧品メーカーの成功は、その製品特性に従った販路開拓ができるか、またターゲットとする販路にあった製品開発ができるかにかかっているといえるだろう。1)

参考URL
皮膚科専門医向けの化粧品メーカー:ドクターシーラボ

1)NCMネット 化粧品資料
「化粧品業界とは」から流通の特徴


■変身合体スウィートロボッツ発進せよ![ 2003年04月01日 ]

新しいコラボレーションの形を模索する老舗和菓子メーカーの挑戦は、どんな驚きを生み出してくれるのだろうか。

(引用開始)
石村萬盛堂、東京に社内ベンチャー
【九州・沖縄】2003/04/01 NIKKEI地域経済より
菓子製造・販売の石村萬盛堂(福岡市)は4月1日、社内ベンチャーとして東京に新たな販売会社を設立する。独自のユニークなイメージキャラクターを採用し、萬盛堂から仕入れた菓子の販促を図る。首都圏の菓子職人と組み、新商品の企画にも力を入れる方針。
新会社「クレインズチャイルド」は東京・世田谷に設立。社長には、萬盛堂が都内に置く別の製造・販売子会社の営業主任、荒川満智代氏が就任する。資本金は2000万円で、萬盛堂と荒川氏など当初5人の社員側が折半出資する。
イメージキャラクターの開発では、ソフト開発会社「デビルロボッツ」(東京・新宿)と提携する。第一弾として萬盛堂のロングセラー菓子「鶴乃子」をベースに、鶴をイメージしたキャラクターの開発を進める。
(引用終了)
デビルロボッツは、CD-ROM制作やアーティストのWebサイトなどを手がけてきたことからビジュアルに優れたキャラクターデザインが得意で、メインキャラクターは「トーフ親子」である。

新会社「クレインズチャイルド」を設立した石村萬盛堂は、明治38年創業の老舗であるが、ホワイトデー(当時はマシュマロデー)の発案者としても知られている。初代石村善太郎が宮大工のせがれであったこと、2代目石村善右の次弟・石村善左が石村式速記の創始者であったことなどからも進取の気風があることがわかる。

デビルロボッツのメインキャラ「トーフ親子」は、ブロックフィギュア「キューブリック」のシリーズとしてメディコム・トイから発売されている。メディコム・トイは、和製キャラの精巧なフィギュアで知られているが、最近は「キューブリック」「ベアブリック」などの比較的安価なブロックフィギュアが人気である。1)

石村萬盛堂の新会社「クレインズチャイルド」は、キャラデザイン、和菓子、フィギュアをコラボレートして新しい食玩の形を追求してくれそうである。

参考URL
キャラデザインに優れた:デビルロボッツ
ホワイトデーの生みの親:石村萬盛堂
渋谷にあるフィギュアメーカー:メディコム・トイ

1)シブヤ経済新聞 アーカイブスから
コラボレートで大人マーケットを開拓する 渋谷フィギュア&トイマーケット事情(2002.10.04)


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