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■ニュースコメント[ 2003年03月分 ]

経済ニュースコメントのバックナンバーを保存したいと思います。とくに地域経済のコメントを重点的にしていきます。
ニュースソースは主にNIKKEI地域経済から引用しています。
リンク切れの場合を考慮して全文引用しています。

■ゲマインシャフトとゲゼルシャフト[ 2003年03月31日 ]
■パンのみにて生くるにあらず、されどまずパンを[ 2003年03月28日 ]
■あらかじめ奪われた未来の夢[ 2003年03月27日 ]
■はじまりのシーズ、進化のジーン[ 2003年03月26日 ]
■お殿さまのポンジュース[ 2003年03月25日 ]
■光りあれ、と神は云った。[ 2003年03月24日 ]
■ハウステンボス、オランダへの回帰[ 2003年03月20日 ]
■ハウステンボスとヒルサイドテラス[ 2003年03月19日 ]
■ハウステンボスの錯覚[ 2003年03月18日 ]
■現代の出島、ハウステンボス[ 2003年03月17日 ]
■テーマパークの本質は“テーマ”である[ 2003年03月14日 ]
■街の杜氏[ 2003年03月13日 ]
■ガンダムのつくり方教えます[ 2003年03月12日 ]
■室戸海洋深層水は、神の配剤か[ 2003年03月11日 ]
■越前そばのつゆ大事[ 2003年03月10日 ]
■ヘラクレスは日本を支えるアトラスとなるか[ 2003年03月07日 ]
■責任の所在、履歴の確認[ 2003年03月06日 ]
■美味しい“かけめし”を食卓に[ 2003年03月05日 ]
■レギュラシオン派的農業分析[ 2003年03月04日 ]
■和菓子とお茶にはじまる“しまねブランド”[ 2003年03月03日 ]


↓↓ ここからニュースコメントコーナー ↓↓
■ゲマインシャフトとゲゼルシャフト[ 2003年03月31日 ]

共同体(ゲマインシャフト)と機能集団(ゲゼルシャフト)が、日本のプロスポーツの在り方を決定し行方を左右している。

(引用開始)
「ベガルタ仙台」過去最高益に、予想より6割増
【東北】2003/03/20 NIKKEI地域経済より
サッカー、Jリーグのベガルタ仙台を経営する東北ハンドレッド(仙台市、京極昭社長)は19日、2003年1月期決算をまとめた。一部(J1)への昇格効果による観客増で、経常収支は過去最高の2億円に伸びた。黒字決算は4年連続となり、1月末の累積損失も18億9000万円あまりに減った。
前期の売上高は21億5400万円と、当初の見通しを6割近く上回った。リーグ戦での開幕5連勝やワールドカップ(W杯)効果も重なり、昇格で減ったホームゲーム4試合分を補った。
昨シーズンはホームの仙台スタジアム(仙台市)に加え、収容人数の多い宮城スタジアム(宮城県利府町)でも2試合を開催した。平均の観客数は2万2000人弱と、J2だった前年度(1万4000人強)から急増した。
(引用終了)
日本のプロスポーツを長らく独占してきたプロ野球は、けして順風満帆にスタートしたわけではなかった。なにしろプロスポーツは収入にくらべて経費がかかりすぎるからであった。すなわちプロ野球は、プロスポーツをどうビジネスとして経営したらいいかという問いかけのはじまりであったのだ。

プロ野球は、客寄せの興業(見せ物、ショウ)として始まった。経営基盤が成立するのは、新聞の部数拡張と私鉄の乗客確保を目的とした企業の販促媒体としてである。ようするに当時はプロスポーツを地域住民が物心両面で支えるという考えも余裕もましてや近代的な都市共同体も存在しなかった。共同体といえば伝統的な農村共同体であったからだ。その農村共同体が崩壊する戦後、テレビの普及とともにプロ野球のビジネス化が可能になるが、それでもその性格は興業であり販促媒体である方が強かった。

実業団スポーツは、戦後疑似共同体と化した企業のレクリエーションとして始まった。スポーツをするなかで連帯を再確認するためである。そのうちテレビの普及にステートアマならぬ企業アマができ、企業の宣伝媒体として成立するのである。ようするに高度経済成長期は共同体の再編過程にありプロスポーツを地域住民が物心両面で支える基盤は存在していなかった。またの共同体としての企業が弱体化しもとの機能集団化するとき、実業団は惜し気もなく切り捨てられるのも必然であった。日本型資本主義の揺らぎとともにJリーグが開幕した(1993年)のは象徴的ですらある。

Jリーグは、そもそもサッカーのレベル向上、具体的にはワールドカップの出場を目的に始まった。現実としては実業団スポーツを母体としながら、理念的には地域を基盤に置いて成立した、もしくは成立過程にあるといえる。日本における個人主義と地域共同体の相克が深刻な対立によって分裂でもしない限り、存続は安泰であろう。ビジネス的には企業の販促媒体でも、宣伝媒体でもない。利潤をあげるのに興業収入、テレビ放映権、サッカーくじが貢献する。ただビジネスとしてどう経営していくかという課題は残る。収入のわりに経費がかかる体質であることは、プロスポーツ(プロ野球)の創成期から変わらないからである。長い時間をかけてアメリカ的な、またはヨーロッパ的なスポーツビジネスを吸収することになるだろう。それがつぎのプロスポーツ化を目指すラグビー、ホッケー、バレーボールの見本となるだろう。

参考URL
東北ハンドレッドが経営する:ベガルタ仙台


■パンのみにて生くるにあらず、されどまずパンを[ 2003年03月28日 ]

国産小麦粉の絶対生産量と輸入小麦粉を含めた消費量、それにうどんやパスタに使われる比率、さらに消費と生産の伸び率を考えると国産小麦粉がパンに振り向けることのできる量は限られるのではないだろうか。いやそもそもパンの個性を決めるのは小麦粉なのだろうか。

(引用開始)
国産小麦粉の製パン技術、都と民間企業が共同開発
【関東】2003/03/19 NIKKEI地域経済より
東京都立食品技術センターと食品素材製造のアサマ化成(東京・中央)は、国産小麦粉を使った製パン技術を共同開発した。国産小麦粉を使ったパンはふくらみが悪いなど製パンには不向きとされ利用が広がらないのが現状だが、消費者の間で食の安全を求める傾向が強まっていることなどから、受け入れられると判断した。
新技術では国産小麦粉を使った食パンの大量生産が可能になる。同社は新技術で加工した国産小麦粉を5年後に年間7万トン流通させる目標だ。
国産小麦粉は発酵が遅く、機械で大量生産するとパンの皮が厚くなりふくらみが悪いという問題点がある。現在、市販されている食パンの大半は、オーストラリアやカナダから輸入した小麦粉を使用している。
同センターと同社は、小麦から抽出したたんぱく質「グリアジン」を国産小麦粉に加えることでふくらみを良くする技術を開発した。外国産小麦粉のパンと同じくらいボリュームが出るといい、柔らかいパンを機械で大量生産できる。
(引用終了)
パンの個性は、素材にあるのだろうか。パンに使われる素材には、酵母、小麦粉、卵、塩、バター、ミネラルウォーターなどがある。これらの素材の組み合わせによってパンはできる。その素材のなかで優劣をつけるとしたらおそらく酵母が頂点に立つだろう。パンは、酵母による醗酵食品であるからだ。ではパンの個性は、酵母が決めるのだろうか。いかに酵母が優れていようとパンは職人がつくる。職人の腕次第で味は大きく変わるに違いない。また素材の組み合わせを決めるのも職人である。よってパンの個性は、人が決めるものだということがわかる。

すなわちまず最初に取り組むことは『どんなパンをつくりたいのか』ということをコンセプトとしてまとめることである。コンセプトに従って、パンはつくられる。できたパンに従って『どう売っていくのか』というマーケティングもおのずと決まっていくだろう。

さてマーケティングからコンセプトを導き出すのが正しいのだろうか、という疑問も残る。マーケティングは、コンセプトを普及する(または消費をオートメーション化する)ための方法論として発達したものである。だからコンセプトが主で、マーケティングが従であるといって差し支えないだろう。

つぎに優れたパンのコンセプト2例からマーケティングを考えてみる。酵母にパネトーネ種を使った「コモ」とホシノ天然酵母を使った「ルセット」である。

「コモ」は、長持ちするパンをコンセプトにつくられている。「コモ」の親会社であった富士カントリー(ゴルフ場経営・名古屋)は、フジパンの関係会社であり、フジパンとバッティングしない製品が求められたといういきさつもあった。そこでコンセプトに従って、酵母に長期熟成・長期保存に適したパネトーネ種(酵母と乳酸菌の複合酵母)を選択した。長期熟成が可能なパンに従って、マーケティングが決定される。工場を各地に増やさず全国販売が可能になり、従来は食品を扱わない販路も開拓できる(パチンコ店の景品としても散見される)ようになった。

もうひとつのパン「ルセット」は、美味しさと最高級と安全性の三位一体を実現するパンをコンセプトにしている。当然手間とコストを惜しまない。そこでコンセプトに従って、酵母にホシノ天然酵母(国内随一の天然酵母)を使い、その他の素材も同じく他の追随を許さない最高級品を厳選した。品質の保存のむずかしいパンに従って、マーケティングが決定される。生産量が限られるため店鋪販売は週末の土日に限られ、人件費節減のためネット販売もフォーム入力による予約制で注文は数カ月先まで埋まっている。

この2例でわかるように人が『どんなパンをつくりたいのか』というコンセプトを決め、そこからパンの素材の組み合わせが決められ、パンの個性が決定付けられるとともにそのパンの売り方であるマーケティングまで決まっていくのがわかる。
“まずもってどんなパンを食べたいのか、それを教えよ”

参考URL
長期保存可能なパネトーネ種のパンをつくる:コモ
手間とコストを惜しまないパンをつくる:ルセット
安全な食品添加物を追求する:アサマ化成


■あらかじめ奪われた未来の夢[ 2003年03月27日 ]

「流星号、流星号応答せよ」
と、スーパージェッター(1965年)がリストバンドのシーバーに呼びかけるシーンから始まるNTTドコモのCM(『描いた未来』篇)は、ぼくたちの『描いた未来』が訪れたことを教えてくれた。CMのバックに流れる「Time To Go」は、どこかで聞いたような60〜70年代ポップス風だったが、CMのためだけに結成されたユニット・Full Moonが書き下ろしたものであった。こうして過去のアニメ・SFを移しながら、現在のテクノロジーが達成した未来を提示していたわけだ。

「鉄腕アトム」もまた(生誕年に際して3度目のアニメ化があるが)過去のアニメでありながら、現在のテクノロジーが達成した未来(全部ではないにせよ)の一部であり、また未来の担保になっている。

(引用開始)
テーマパーク「スペースワールド」に鉄腕アトム登場
【九州・沖縄】2003/03/19 NIKKEI地域経済より
テーマパーク「スペースワールド」(北九州市)は18日、21日から開催するイベント「アストロボーイ・鉄腕アトムinスペースワールド」をマスコミ向けに先行公開した。アトムの誕生日、2003年4月7日に合わせて開催するもので、7月10日までの期間中に50万人以上の集客を目指す。
同イベントは園内の遊戯施設「スペースドーム」で開く。アトム生みの親、天馬博士の実験室でアトムが起きあがり目を開ける誕生シーンや、アトムが空を飛ぶ様子を人形などを使って再現する。
アトムの育ての親、お茶の水博士や妹のウランの人形、アニメの原画やセル画なども展示。物販コーナーではTシャツやアトムの顔をしたクッションなど、約千点の関連商品を100円台から1万円台で販売する。
(引用終了)
アストロノーツ(宇宙飛行士)体験ができるエデュテイメント寄りのテーマパーク・スペースワールド(北九州市)にしても、そのテーマであるスペース(宇宙)とは、過去のアニメ・SFで語りつくされた夢である。現在のSFではスペースオペラは古典中の古典であり、スペースとは云ってもサイバースペースやジェンダースペースが扱われる始末だ。実際の宇宙開発の予算は削られ現実よりはむしろ夢のほうが濃密なスペースを展開しているかもしれない。

もしもスペースワールドが、テーマパークとしてアトム並びにその他の手塚作品、手塚の弟子たちの作品をテーマ・アトラクション導入するのなら、近年増えた昭和30年代をテーマにしたテーマパークと同じ効果が得られるかもしれない。なぜかといえばテーマとなる作品は必然的に過去のアニメ・SF作品になるからである。

それらは本当の未来ではなく『描いた未来』であり達成されてしまったがゆえに、あらかじめ奪われた未来の夢の欠片として、訪れる人を郷愁の世界に誘う。その意味でけしてスペースというテーマを外してはいない。だれでももっている心のシーバーの呼びかけに応じて開かれるノスタルジックスペースだからである。

参考URL
近代製鉄発祥の八幡製鉄所跡地にある:スペースワールド


■はじまりのシーズ、進化のジーン[ 2003年03月26日 ]

はじまりのシーズは進化のジーンのなかから見い出される。
シーズとは、創業や事業展開や事業転換などを導くもの。
ジーンとは、地域・企業や個人や時代性などによって培われるもの。

(引用開始)
トムス、今月中に毛皮事業から撤退へ
【中部】2003/03/19 NIKKEI地域経済より
アニメ制作のトムス・エンタテインメントは今月中に毛皮事業から撤退する。ミンクなど高級婦人服用の毛皮製品を手がけてきたが、先行きの需要が見込めないと判断した。専門子会社は整理する。2004年3月期以降はアニメとアミューズメントに経営資源を集中する。
同社は2000年の商号変更前のキョクイチ時代に、繊維事業の自社生産から撤退。その後は外注生産に一本化し、1999年にはニット部門から撤退するなど徐々に規模を縮小していた。専門子会社は不動産賃貸も手がけており、不動産物件の売却を終え次第、整理に入る。
(引用終了)
東京ムービー新社略してトムス、です。『ルパン三世』の制作会社というと思い当たる人も多いはず。東京ムービー新社が、セガ傘下に入ったあと繊維業の同じく傘下のキョクイチと合併したという次第で、一種の事業リストラといえる。

衰退産業である繊維業のうち化繊よりも紡績は、他の産業への派生・転換がむずかしく、大手資本のそれにくらべて中堅・中小資本のそれがむずかしい。結果、多くの紡績会社は自社工場の広い敷地あとにSCを誘致して、不動産賃貸業になってしまった。要するに事業転換(ほぼ新規参入)するための資金・ノウハウ・人材はもちろんのこと、その方向性を与えてくれるシーズを企業のなかに見つけられなかったのが大きい、と思う。もちろん面白いシーズを発見して育成して花を咲かせた例がないわけではない。

ラジコン模型ヘリのヒロボーがそれである。現社名のヒロボーからも類推できるようにもとは広島紡績という紡績会社だった。斜陽の紡績業から転換するときに社長の趣味であるラジコンヘリを選んだという変わり種。“好きこそものの上手なれ”で善し悪しもわかるわけです。

事業転換するためのシーズを地域風土や企業風土からではなく個人的資質から見い出してかつ成功した希有な例である。ともあれそういったシーズ(種)というものは、毎日培われて進化していくジーン(遺伝子)から生まれることを忘れてはならない。

参考URL
アパレルからアニメに事業転換:トムス・エンタテインメント
紡績からラジコン模型ヘリに事業転換:ヒロボー


■お殿さまのポンジュース[ 2003年03月25日 ]

県農えひめのポンジュースの「POM」の名付け親は、当時の愛媛県知事で伊予松山藩の当主である久松定武(伯爵)であったとされる。1) 2)

(引用開始)
県農えひめ、果汁加工を分離・コメ販売も独立
【四国】2003/03/20 NIKKEI地域経済より
愛媛県農業協同組合連合会(県農えひめ、寺井信隆会長)は4月1日付で果汁加工事業とコメ販売事業を会社化し「えひめ飲料」「ひめライス」として独立させる。来年4月に見込まれる全国農業協同組合連合会(全農)と県農との統合を視野に競争力強化を狙う。
えひめ飲料、ひめライスの資本金はそれぞれ67億5000万円、4億円。県農えひめを中心に一部県内農協による現物出資で設立する。新社長には県農えひめの重松直喜常務、重川鉄農畜産担当参事がそれぞれ就任する。
果汁加工事業は県農えひめの中核事業のひとつで、ポンジュースの名称で愛媛産のかんきつ類の果汁ジュースなどを生産している。すでに山口県や佐賀県などの県農が果汁加工事業を分離独立し分社化しており、県農えひめの動きもこの一環。
(引用終了)
ポンジュースは、その知名度などを考えると県農(含む農協)がつくる果汁系ジュースのなかでのトップブランドである、といっても過言ではない。トップブランドとなった理由は、命名の由来のストーリー性、“愛媛のまじめなジュースです”のコピーの明快さと一貫性、そのコピーと品質が合致したことであろう。これらの理由によってナショナルブランド化に成功、いまもなお他の県産ジュースの追随を許さないでいる。

もちろんトップブランドであるからといって課題がないわけではない。それは飲料メーカーとの競争にどう打ち勝っていくかということである。清涼飲料は寡占化が進んでおりコカ・コーラ(のボトラーズ)を筆頭にビール系メーカー、缶コーヒー系メーカー、大塚製薬・伊藤園といった大手が自販機シェアを分け合っている。すなわち果汁も含めた清涼飲料業界にとって主戦場は、大勢が見えた自販機からスーパーやコンビニの棚の争奪に移りつつある。これらの競争に必須なのが近代的マネジメントの導入であり、今回の会社化なのであろう。

今後はポンジュースを他社自販機へと供給すること、また会社の株式上場や清涼飲料分野への投資を続けるJT(日本たばこ産業)やネスレなどの食品大手との資本提携することなども選択肢とすべきではないだろうか。

参考URL
1)ソフトドリンク・アーカイブから:愛媛県青果連「ポンジュース」
2)ポンジュースから:ポンジュース名前の由来は?

ポンジュースで有名な:県農えひめ


■光りあれ、と神は云った。[ 2003年03月24日 ]

文明は光であった。ゆえに文明は光を求め、さまざまな形で光をつくり出した。

(引用開始)
エコ・パワー、六ケ所村に日本最大の風力発電所完成
【東北】2003/03/19 NIKKEI地域経済より
風力発電事業などを手がけるエコ・パワー(東京・港、片野俊雄社長)は18日、青森県六ケ所村に日本最大の風力発電所が完成したと発表した。
高さ100メートル、翼回転直径が64メートルの風力発電機22基からなり、総出力は風力発電としては国内最大の3万3000キロワット。標準家庭1万5000戸の年間消費量に相当する5300万キロワット時の電力を生み出すことができる。
総工費は58億円で、同社のグループにとっては21カ所目の風力発電設備になる。
この発電所は98年に計画に着手したが、試運転中の2002年に火災が発生し、完成が約1年年延びた。
(引用終了)
無明の闇に火を灯すことで人は文明をつくりあげてきた。文明における技術の発展に従って石炭・石油・原子力と火を灯すための手段は高度化していった。本来エネルギー効率が悪くてオランダの観光風物やドン・キホーテの敵としての価値しかなかった風車を一躍電力に変えたのも文明の発展のなせるわざであった。

風力発電所は、日本国内でも続々と建設され上場企業(日本風力開発)も出てきた。今回のエコ・パワーの六ヶ所村における風力発電所の建設もその潮流のひとつであるわけだ。エコ・パワーが風力発電所を建設したのは青森県六ヶ所村は、むつ小川原地域に属している。このむつ小川原こそ日本のエネルギー政策の縮図である。

文明は光であり、その光を生み出すエネルギーこそ文明の根幹であるといえる。当然文明を担う国家はエネルギー政策を重視する。それに対して安定供給・資源確保・非常時想定といったことが思い浮かぶように、日本のエネルギー政策はすべてのオプションを用意することが求められている。

特に2度の石油ショックはそのエポックであった。そのために石油備蓄基地の設置、原子力発電所の増設、核再処理施設の運用といったオプションは道理であり、そしてまた新たなオプションとして風力発電が加わった。かくてそのすべてがむつ小川原地域にそろっているのもむべなるかな、である。むつ小川原は、光を絶やさないために取り組んできた日本のエネルギー政策の30年の成果ともいえる。

参考URL
風力発電としては初の上場企業:日本風力開発
六ヶ所村に日本最大級の風力発電を建設した:エコ・パワー


■ハウステンボス、オランダへの回帰[ 2003年03月20日 ]

前日までのまとめからハウステンボスが回帰または追求すべきテーマ(オランダ)についてまとめよう。

(引用開始)
ハウステンボス支援へ県民運動総決起大会
【九州・沖縄】2003/03/15 NIKKEI地域経済より
会社更生法の適用を申請した大型リゾート施設、ハウステンボス(長崎県佐世保市)の再建を支援しようと、長崎県などが呼びかけた「10万人の県民がハウステンボスに行こう」県民運動総決起大会が14日、長崎市内で開かれた。
この県民運動は4月までに、長崎県民10万人がハウステンボスを訪れることを目標に、県内の各種団体が発起人となっている。
この日の大会には金子原二郎知事や、長崎市の伊藤一長市長のほか、商工関係や観光関係など発起人の163団体の代表ら計約200人が出席。県外からも九州旅客鉄道(JR九州)の石原進社長らが参加し、再建支援に向けたそれぞれの取り組みや決意などを報告した。
(引用終了)
テーマパークはその名のとおりテーマそのものに本質がある。長崎県佐世保のテーマパーク・ハウステンボスのテーマであるオランダは、鎖国という中央の政策によって与えられたものというのが実相である。ハウステンボスの土地も資本も高度成長期・バブル期を抜きにしては語れない。逆説的にそのテーマを選ばされたということでもある。“長崎=オランダ”というテーマは、歴史に由来する強固なイメージを保持していたため、そのテーマが本当に正しい選択なのか、テーマとなる概念として強固なのかまたどのように強固にしていくのか、という検証と議論はなおざりにされてしまった観がある。

さらにそれらを妨げたのが経営を助けた3つの効用であった。しかもそれらは本来の効用の在り方とはかけ離れていた。テーマがテーマを生むための連関の効用は、長崎=オランダの定型の発想のなかでループしてしまった。人が人を呼ぶための導線の効用は、観光ルートとアクセスに焦点を当てすぎてしまった。ハードとソフトの相乗効果を企むハードの効用は、本格的なハードがソフト性を持つのではという期待を過度に抱かせてしまった。好条件が重なったことが逆に本来の効用の追求とテーマの強化というテーマパーク経営の常道から遠ざけてしまった、といえるだろう。

ソフトをつくり、ハードをつくるのは人である。人が考えるべきなのはソフトを発想し、ハードを構築するための概念である。加えてテーマパークの本質はテーマにある。となれば、テーマの概念に回帰することがテーマパーク強化における最善の道である。ではハウステンボスのテーマはどの概念に基盤を置くべきなのだろうか。

テーマの概念の基盤には、創業者の個性・時代性・風土が考えられる。ハウステンボスの創業者である神近義邦氏の発想としては、オランダ・環境が念頭にあったものの時代性・風土から生じているのは間違いない。時代性としては、出島からの類推にせよ、環境にせよ、滞在型リゾートにせよ中央の政策に応じた地方の解答という域を出ない。そこに概念の基盤を置くにはやや流動的すぎる。風土としては、長崎を選ぶにも本物には勝てないし、オランダを選ぶにもこちらも本物に勝てるわけではないが、受発信をオランダに特化すれば東京に部分的に勝てるかもしれない。すなわち日本とオランダの距離的・時間的な感覚のあいだに仮想的な基盤を置くのが正しい。

資本主義発祥の地であるオランダは、現在でも先進的な概念を生み出す土壌がある。なかでもデザイン性の高いプロダクトを数多く生み出していることは案外知られていない。MOMAスタイルのウォルマートと異名をとるHEMA(オランダ・アムステルダム統一価格会社)、先頃閉鎖されたもののオランダのデザインをリード・育成したKPNアート&デザイン(旧PTTポスト)、デザイナー集団のドルーグデザインなどがある。ハウステンボスで、デザイナーとデザインプロダクツを招聘・販売するのはどうだろうか。つぎのような効果が期待できる。
“テーマが明確になる(オランダデザイン)”
“人の交流が発生する(デザイナーの人脈効果)”
“ハードにソフトを挿入できる(ショップ、美術館、工房)”
この過程を循環させることができれば、東京並みの高度なアミューズメント性と購買行動が両立できるのではないか、と思う。

参考URL
MOMAスタイルのウォルマートといわれる:HEMA(オランダ語)


■ハウステンボスとヒルサイドテラス[ 2003年03月19日 ]

東京・渋谷区代官山にヒルサイドテラスはある。1968年の第1期着工から1992年の第6期完成にいたるまでの30年近いこの都市再開発は、土地の所有者・朝倉家と建築家・槇文彦の出会いに始まる数々のコラボレーションの結実といえる。ヒルサイドテラスの開発過程にハウステンボスなどのテーマパークのあるべき開発を類推することができる、と思う。

(引用開始)
九州経済調査協会、テーマパークの初期投資抑制を提案
【九州・沖縄】2003/02/28 NIKKEI地域経済より
九州経済調査協会は27日、2003年版の九州経済白書「新しい観光・集客戦略」を発表した。ハウステンボスをはじめ破たんが相次ぐテーマパークについて、経営を安定させるには初期投資を抑えて未完成のまま開業し、徐々に新施設を付加していくことを提案している。
リゾート施設やテーマパークは「開業2年目以降に客足が鈍るケースが多い」と分析。落ち込みを防ぐにはリピーターを獲得することが必須で、そのためには施設の追加やリニューアルが重要になるとしている。
初期投資を抑えればリニューアル費用を確保できる。阿蘇ファームランドや門司港レトロを「順調に伸びている施設」に挙げ、いずれも未完成の状態でオープンしたうえで、継続的に追加投資していると指摘した。
(引用終了)
テーマパークにはテーマを助ける効用があることは前回述べた。“連関の効用”“導線の効用”“ハードの効用”がそれである。しかし本来あるべき連関とは、単純な連想ではなくテーマがテーマを生み続ける仕掛けであること。あるべき導線とは、観光ツアー誘致ではなく途切れなくリピーターを生み続ける仕掛けであること。あるべきハードとは、投資額ではなくソフトとのバランスを保ち続ける仕掛けであること、は理解できる。

その仕掛けを持ったケースとして代官山ヒルサイドテラスをあげる。それは
“概念が概念を生む”
“人が人を呼ぶ”
“ハードがソフトを、ソフトがハードを求める”という一連の過程でもある。

都市再開発の概念が、つぎの建築の概念を生みだす。朝倉家の人脈で建築家が招かれ、次にレストランオーナーが招かれる。概念により建築がなされ、それにあったライフスタイルが無理のないペースで追求されていく。これを可能にしたのは皮肉にもハウステンボスとは正反対の制約であった。
“もともとの連関性に乏しい”
“もともとの導線に乏しい”
“もともとの資本に乏しい”
という乏しさであった。単純な連想でテーマを選択できるようなバックボーンを代官山という土地は持っていなかった。東急東横沿線にあったものの四半世紀前にはファッショナブルなエリアとしての認知はなく人の流れを呼び込むのは容易ではなかった。開発者が代官山の旧家であるもののハードの一括投資を可能にする資本に少なかった。すなわちヒルサイドテラスにとっては、乏しさが成功の原因であった。

乏しさが継続性を要求した。中途のテーマが新たなテーマを生みだし、客に限らず開発者自体含めたリピーターがリピーターを呼び込み、建築途中のハードがそこに似合うソフトを、雰囲気をかもし出すソフトがつぎのハードを発想させた、といえるだろう。

この乏しさを意図的に与えることが、いまハウステンボスに求められる。テーマへの深厚、表現者から訪れるリピーターまでの人とのコラボレーション、ハード活用のためのソフトへの再考が求められる。

参考URL
東京渋谷区代官山にある:ヒルサイドテラス


■ハウステンボスの錯覚[ 2003年03月18日 ]

ハウステンボスの“テーマ”が強いのは錯覚であり、それを覆い隠した3つの原因があった。連関・導線・ハードの効用がそれである。オランダのイメージ、観光客、投資額がテーマの弱さを覆い隠していたのではないか。

(引用開始)
日本経団連会長、ハウステンボス再建はアクセス網整備が必要
【九州・沖縄】2003/03/14 NIKKEI地域経済より
日本経済団体連合会の奥田碩会長は13日、九州・山口経済連合会との懇談会後、記者会見し、経営破たんしたハウステンボス(長崎県佐世保市)の再建について「東京ディズニーランドのようにリピーターを呼び込む構造にするべきだ」と指摘。施設の新規投資だけでなく、道路・港湾行政が一体となったアクセス網の整備が必要と強調した。
九州の経済振興については「県知事らが企業の誘致運動に取り組むのが大事。産業の空洞化が進むなかで、世界中を回って企業を誘致する時代が日本にやって来た」とした。大野茂九経連会長は「産業集積を産学連携で進め、九州が得意とする半導体や環境産業などで産学の頭脳部門を植え付ける必要がある」と話した。
(引用終了)
テーマパークであるハウステンボスのテーマは強いと思われてきた。しかし実際に倒産した以上、テーマにどこか弱さがあったというのが自然ではないだろうか。そこにはおおまかに3つの効用がテーマの弱さを補っていたため把握されなかった、と推測される。

まずオランダ=長崎という“連関の効用”である。だれに訊ねてもこの連関の妥当性を疑う者はいない。つぎに長崎観光のパッケージとして“導線の効用”を享受していたこと。長崎全体をテーマパークと捉えるならハウステンボスは部分にすぎないだろう。最後にバブル期の一括投資が可能にした本格的な施設がソフトの不足を補った“ハードの効用”である。一見でなくくまなく回ってもその外観は妥当性以上のものを与えてくれるからである。

これらの効用がハウステンボスのテーマの弱さを覆い隠してしまった、と思う。オランダ=長崎のイメージの連関に頼りすぎ、テーマの深厚を怠った。テーマとなる長崎にせよオランダにせよ、本家である長崎やオランダ自体をしのぐことはできない。環境というテーマもあるがハウステンボスでやる必然性がないのも明らかである。

長崎観光の導線に頼りすぎ、リピーターの欠如を招いた。どこまでがハウステンボス本来の魅力にたびたび訪れた客なのかがわからない。一括投資によってリピーターを獲得するための継続投資が抑制されてしまった点もあるが。

ハードに頼りすぎ、ソフトとのアンバランスを招いてしまった。施設が本格的で、単なるイミテーションではなかったためにハード自体にソフト性を期待したものの限界がある。エンタテインメントやアミューズメントより教育・エデュテイメントの印象を与えてしまった。滞在型リゾートとしての価値もエンタテインメントあってのものである。

これらの効用はテーマの強さに応じて発揮されるべき性質のものである。その意味で“連関の効用”はイメージの深厚において、“導線の効用”はリピーターの育成において、“ハードの効用”はソフトとのバランスのある投資においてそれぞれ発揮されるべきである。1)

参考URL
1)長崎新聞から:ハウステンボス特集


■現代の出島、ハウステンボス[ 2003年03月17日 ]

出島(過去)とハウステンボス(現在)の共通性とは、中央の政策とそれに応じる地方の対策の関係性である。鎖国期→高度成長期→バブル期における中央からの提起と地方の摂取後の解答をそこに見出せる。しかしバブル期に対する正しい解答はいまだにないのかもしれない。

(引用開始)
JR九州、4月からハウステンボス支援キャンペーン
九州旅客鉄道(JR九州)は4日、ハウステンボス支援のキャンペーンを4月から始めると発表した。博多駅をはじめとしたJR主要駅でPRコーナーを設置、乗客・入場者が少ない平日用に格安キップを発売する。輸送乗客を4―9月で前年同期比25%増の20万人を目指す。
キャンペーンでは主要駅でのPRに加え、ハウステンボス号の乗客にプレゼントや到着時のイベントを実施。
4―6月の月―木曜に限り、往復分のJRの乗車券・特急券に施設の入場券を付けて5000円の格安プランを発売。施設内でのオプションプランも拡充する。JRグループ各社にPRの協力を要請するほか、博多―韓国・釜山を結ぶ高速船、ビートルを使った韓国からの格安ツアーも実施する。
(引用終了)
長崎の出島は江戸幕府の鎖国政策によってつくられた。ハウステンボスも現在の出島という性格を持っている。そこには政策を打ち出す中央とそれに対応する地方という構図があるからである。

ハウステンボスの背景には大きく3つの中央の政策の影響が見受けられる。ハウステンボスの一括投資を可能にしたのは、バブル期の内需拡大とそれに基づくリゾート法があった。ハウステンボスの広大な土地は、高度経済成長期の石油化学コンビナート建設のための造成地であった。ハウステンボスのテーマの発想ももとをただせば、江戸幕府の鎖国政策によって長崎にオランダとの関係性が生じたからであった。

江戸時代の貿易港から高度経済成長期のコンビナート、そしてバブル期のリゾートにいたるまで一貫して東京(中央)が発信元であり、長崎(地方)が受信先である。その受け身の摂取を長崎は発展の源としてきた。しかし摂取から解答を出すまでにはタイムラグがあるのもたしかである。

出島とそこからもたらされる南蛮文化によって長崎は礎を築き、今にいたるまで観光資産として活かしている。高度成長期の遺産であったコンビナート用地をハウステンボスに転用するまでそこは草ぼうぼうであった。そしてバブル期・リゾート法の産物であるハウステンボスをどう活かすかが今後の課題である。

参考URL
長崎県佐世保市にある:ハウステンボス


■テーマパークの本質は“テーマ”である[ 2003年03月14日 ]

テーマパークはテーマを持つ、というとなにを今さらと半畳を入れられそうだが、この当たり前の本質がもっと省みられていたら地方のテーマパークの数々の失敗はなかったのではないか、と思う。

(引用開始)
長崎県、「10万人キャンペーン」でハウステンボス支援
【九州・沖縄】2003/03/01 NIKKEI地域経済より
長崎県の金子原二郎知事は28日、会社更生法の適用を申請したハウステンボス(長崎県佐世保市)の支援策として、3月に「10万人キャンペーン」を展開することを明らかにした。
このキャンペーンは、10万人の県民がハウステンボスを訪れることが目標。具体的には県などの行政のほか、商工団体などの各種団体のトップが発起人となり、各団体内で動員を呼びかける。このため3月3日には金子知事が佐世保市内の企業や団体を訪問し、協力を呼びかけるほか、県幹部も手分けして県内の各地域を訪問する予定。また金子知事は3月7日に上京し、旅行会社などを 訪問。ハウステンボスの再建に向けた協力を要請することにしている。
(引用終了)
これはとりもなおさずディズニーランド以外のテーマパークは、テーマが弱かった、ということになる。ただしハウステンボスは、他の地方にある大規模テーマパークのなかでは比較的テーマが強そうに見えたのは事実である。でも本当にテーマが強かったのだろうか?

テーマパークはテーマを持つ。
テーマを表現する手段がパークである。
テーマが強固でないとパークは弱い。
経営を強くするにはテーマを強くすること。
これらの起承転結がないと、テーマパークは成り立たないのではないか。

テーマパークの元祖がディズニーランドであり、ウォルト・ディズニーの夢の産物であるのなら、テーマパークの本質はやはり地域起こしでも利潤追求でもなく表現したいテーマにある。アミューズメント性、アクセスのしやすさ、近隣人口の多さが必要条件でもテーマの強固さは絶対条件である。

ハウステンボスが、いかに初期投資の大きさが経営を圧迫したとはいえテーマをないがしろにしていたのではないかという疑問は残る。ハウステンボスの時代背景と風土、テーマとの関係、テーマの育成について検証していくことでハウステンボスの再生を考えたい。

参考URL
日本のテーマパークのなかで最強:東京ディズニーリゾート
ディズニーリゾートを経営する:オリエンタルランド


■街の杜氏[ 2003年03月13日 ]

よい日本酒づくりには、今も昔も杜氏の経験と勘によるところが大きい。空気中に漂う麹菌と酵母の見えない働きを感じ取る忍耐と器用さが求められるからである。よい街づくりも、プロデューサーの経験と勘に負うべきところが大であろう。街の雰囲気に漂う歴史的風土と人の発想を結び付ける思慮と繊細さが求められるからである。それは“街の杜氏”というにふさわしいかもしれない。

(引用開始)
磯蔵酒造、日本酒のブランド戦略を強化
【関東】2003/03/12 NIKKEI地域経済より
磯蔵酒造(茨城県笠間市、磯信子社長)は、製造する日本酒のブランド戦略を強化する。5月から5種類あった銘柄を1つに集約。日本酒の原料となる酒米を作る地元農家を増やすほか、地域の酒屋や旅館への提案営業を積極化し、新ブランドの確立を目指す。 銘柄の統一ブランドには稲作が盛んな豊かな地という意味の「稲里(いなさと)」を残す。「京の鶴」「都白雪」など既存4銘柄は廃止する。このたび社名も「磯酒造」から「磯蔵酒造」に変更。銘柄も社名も統一し「地酒としてのイメージをつくる」(磯貴太専務)。 磯蔵酒造は3軒の地元農家と契約を結び、茨城産の酒米100俵(1俵は60キログラム)を生産委託している。今後、契約農家を10軒以上に増やして「稲里」の原料を100%茨城産の酒米で賄う計画だ。地元農家にとっても安定的な取引先を確保できる利点がある。
(引用終了)
酒を仕込むのに杜氏は欠かせない。腕のよい杜氏のつくった旨い酒を呑むのに、美味しい食事が供され、雰囲気のよい宿に泊まることができれば格別である。

安いだけの酒から脱却して旨い酒への転換をはかろうとする蔵が最近増えている。それだけに旨い銘柄との評価を受けるだけでは、新味はなく産地間の競争には勝てないところにまで早晩行き着くだろう。産地の魅力をトータルでプロデュースする才能とその集まりが求められるのは必然の流れといえる。そこには客観的な視点で見ることができる人物が必要ではないだろうか。

その街の個性を引き出すために積極的な外部資源の導入が求められる。Uターン、Iターンはもちろんのこと異業種からの転身、果ては外人などの人材を受け入れる環境を醸成しておけば才能をいかんなく発揮してくれるに違いない。

長野県小布施にある桝一市村酒造場では、米人女性セーラ・マリ・カミングスがレストラン、文化人の公演、木桶復活と矢継ぎ早に新機軸を打ち出して葛飾北斎ともゆかりのある古い蔵元を再生させた。このように外部からの才能は、“街の杜氏”として空気を感じ風物のなかから新しくかつ懐かしい文化をプロデュースしてくれるだろう。

参考URL
米人女性セーラ・マリ・カミングスを迎えた:桝一市村酒造場


■ガンダムのつくり方教えます[ 2003年03月12日 ]

フィクションの効用というのがある。
アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズによって派生したノンフィクション(現実)としてのガンプラなどの現象はいうに及ばず、広く考えれば民主主義や共産主義もまたフィクションであることからもその影響力のすさまじさは理解できる。もちろんそのすさまじさは多くの副作用も生じさせてきたのもたしかであるが。

(引用開始)
金沢工大、特別講座「ガンダム創出学」の詳細を発表
【北陸】2003/03/12 NIKKEI地域経済より
金沢工業大学(石川県野々市町、石川憲一学長)は、4月に開講する特別講座「ガンダム創出学」の詳細を発表した。初代TVアニメ「機動戦士ガンダム」から監督を務める富野由悠季氏らを講師に招き、作品分析から娯楽産業としての広がりまで幅広い内容とする。
第一期「現代編」は、4月26日から10月12日まで、夏休み期間などを除き主に土曜日に10回開く。映像・出版から「ガンプラ」と呼ばれるプラモデルまで広がる関連産業の経済学のほか、人類の多くが宇宙に移住している作品の舞台である未来世界の歴史学、モビルスーツ(ロボット)論などがテーマ。
20年以上人気が持続しているシリーズを支える創作力や事業のノウハウを学んでもらうのが狙い。金沢工大の学生以外に、事前に申し込んだ中高生も受講できる。2004年度には「未来編」も開く予定。
(引用終了)
フィクションは、民主主義や共産主義の例からもわかるように概念であり、卑俗のものにたとえればソフトウェアということになる。こうしたソフトウェアを創造するのは、当然ながら文化的な蓄積や競争の激しい都市のほうが、それも地方都市よりも首都のほうが優越しているのはいうまでもない。アニメスタジオ含めてソフトウェア開発は都市に集中している。

地方は都市に対して、フィクションの創造で比較劣位であり、フィクションの効用の享受においても比較劣位になる。地方は、工業社会的な位置付けとして廉価なハードウェアの供給者の立場を担わされてきたからである。いきなりソフトウェアを創造せよ、といわれても困惑するばかりだ。しかし着実に脱工業の流れは地方を襲っている。現に“世界の工場”としての役割を中国に譲り工場移転をすすめているのだから、工場全廃とまではいかなくてもハードウェア偏重からの脱却は避けられない。ではどんな方策があるのだろうか。

地方は、フィクション(ソフト)をハードに具現化するときにその技術的な蓄積や競争をくぐり抜けてきた自信を強みとして発揮できる、と思う。その好例が「機動戦士ガンダム」に登場するザクの巨大プラモである。ポリタンクなどの製造に使われるブロー成形の技術を駆使したこのプラモは、新潟県南蒲原郡にあるマリンブルーブローが製造したものである。この会社の親会社が新潟県三条市にある三光総業である。地方の中小企業の技術の蓄積とその見事な開花を感じさせてくれる話ではないか。1)

ただハードとソフトの融合ともいうべき結実にいたるまでが大変である。その技術と文化のあいだを取り持ってくれる仲人が少ないことが“仏像つくって仏心入れず”で地方テーマパークの破綻・閉鎖などを誘発しているのも事実なのだ。今後は、最低限でもリエゾン(連絡役)を介するシステム構築の試みがすすむことになるだろう。

参考URL
1)MONO ONLINEから:これがウワサのザク工場だ!

バンダイ、マリンブルーブローに原料供給する:A&Mスチレン


■室戸海洋深層水は、神の配剤か[ 2003年03月11日 ]

海洋深層水は、その名が示すとおり非常に珍しい形で採取されるミネラルウォーターであった。ある意味で効能以前にその採取法がのちのマーケティングすべてを決定付けた、といっても過言ではない。

(引用開始)
海洋深層水関連商品の売上高、食品が飲料水上回る
【四国】2003/03/11 NIKKEI地域経済より
高知県室戸市沖で採取する海洋深層水を使った商品の売上高が2002年に95億4400万円となった。前年比5.4%増加した。ピークだった2000年の105億4800万円には届かなかったものの、大きく落ち込んだ2001年からやや回復した。商品開発が進む食品が関連商品多様化の効果が出て伸び、主力だった清涼飲料水の減少を補った。
売上高は高知県が深層水を利用する111社のうち103社から回答を得てまとめた。商品の分野別にみると、食品は39.7%増の55億3500万円となり、初めて飲料水を上回った。
塩干物や豆腐・納豆、パンなどのその他加工食品の増加が目立つ。利用企業数は横ばいだが、個々の企業が試験的に使っていた深層水の利用を本格化し始めた。ナスやトマトなど、栽培に深層水を使った農産物が額は小さいが大きく伸びた。
(引用終了)
ダイドードリンコの「MIU」という清涼飲料水は、パッケージの色とデザイン、もしかすると味にいたるまで海洋深層水のイメージに沿って開発されているのでは、と印象を受けるだろう。ノベルティのボトルキャップフィギュアは、偶然の一致か(海の名をいただく)海洋堂の原型制作による。海洋堂が、ガレージキットでの実績を踏まえて食玩の分野で成功を収めているのは周知のとおりである。「MIU」のフィギュアは、もちろん深海ということで珍奇な形相の深海生物のコレクションである。

いうなれば珍奇さがマーケティングを決定し、誘導されたように3社が自然とコラボレーションして、神の配剤のように「MIU」の見事な成功を収めた。室戸海洋深層水というブランドの出航は、実に天に恵まれたものであったわけだ。今後、このはじまりに匹敵するようなインパクトある海洋深層水使用の商品が生まれることはむずかしいだろう。ただしコラボレーションを心掛けるという基本姿勢は、室戸海洋深層水の関係者に根付いたこと、と思う。それがおそらく際たる天恵なのではないだろうか。

参考URL
高知県オフィシャル:海洋深層水の部屋
「MIU」の販売元である:ダイドードリンコ
「MIU」のボトルキャップフィギュアの原型制作:海洋堂
海洋堂企画部の情報サイト:kaiyodo@net


■越前そばのつゆ大事[ 2003年03月10日 ]

江戸そば、信州そば、出雲そば、わんこそばにくらべて知名度の低い越前そばを普及させるにはどうしたらいいのか?

(引用開始)
福井県、県内産そば使用店31店に認定書
【北陸】2003/03/05 NIKKEI地域経済より
福井県は県内産そば粉を使った飲食店31店を選び、県の認定書を手渡した。福井産そばをアピールすることで、そば粉の消費拡大につなげ、名産品の「越前おろしそば」のブランド化につなげる狙い。
認証したのは「おいしい福井県産そば使用店」で、県産そば粉を100%使っているなどの条件を満たした店舗。各店主らに認定書と額縁を贈呈し、店舗内の目立つところに掲示してアピールしてもらう。また県のホームページ上で認証店を紹介するページを設けるほか、パンフレットを作製し、各店舗や観光施設、市町村役場などに配布して観光客などに紹介する予定。福井県ではそばの作つけ面積が約1700ヘクタールあるが、県内での消費量は23%程度にとどまっている。このため店舗を認証することで、そば粉使用拡大を図る。
(引用終了)
そばは、信州から日本各地に伝わったとされる。大名の国替えと参勤交代、江戸への人口移動が主なルートである。江戸そばも職人が信州から根付いた形で伝播した。ところがいつしか江戸そばのかけそば、もり、ざるの形態が信州に逆輸入され、信州そばのもともとの食べ方は数えるほどになってしまったという。信州そばの旧い食べ方を程度の差はあれ継承しているのは、出雲そば、盛岡のわんこそばや会津そば、そして今回の越前そばなどである。文化の中心地には、旧い伝統が残らずむしろ辺境に残存するという例証である。1)

越前そばは、どうして江戸、信州、出雲の各地のそばにくらべて知名度が低いのだろうか。とりあえず仮定してみるが、信州は産地であり、江戸は一大消費地でトレンドの発信地であった。出雲、盛岡は江戸や京都からの遠隔地であり、影響は受けても独自性を発揮する余地があったのではないか。会津、越前は産地である信州にも近かったし、江戸のトレンドの影響力が強かったのではないだろうか。しかし越前そばにも独自のカラーがないわけではない。

そばは、めんとつゆによって構成されるといっても過言ではないだろう。めんは比較的上達しやすいが、つゆは伝統であり一朝一夕ではできないという。越前そばは、辛味大根をおろしつゆにして食べる。江戸そばは、かけそば、もり、ざるそばである。盛岡そばは、わんこそばであり食べ方に本質がある。出雲そばは、割子そばで食べる。とすると、越前そばの本質的な特徴は辛味大根のおろし入りのつゆにある。しかし自家製で美味しいつゆをつくるのはむずかしい。一般に普及するために福井・越前の醤油メーカー(フク醤油が県下では大手)が、越前そば用の辛味大根おろし入りのつゆを製造販売することで、まず地産地消をバックアップするのはひとつの試みであると思う。

参考URL
1)サンin特選街から:出雲そば内の出雲そばの風土と伝統

福井・越前の醤油メーカーである:フク醤油


■ヘラクレスは日本を支えるアトラスとなるか[ 2003年03月07日 ]

大証の悩みは深い。取引高では東証、IPO実績ではジャスダックの二強がすでに確立している。日本各地に証券取引所が分散していたそもそもの意義は通信環境の劇的な変化で失われた。ナスダックジャパンとして始まったIPO向けの市場もヘラクレスと名称変更したもののナスダックの世界構想も失った状況でどんな展望があるというのか。

(引用開始)
静岡県内の上場企業、大証などの上場廃止広がる
【中部】2003/02/28 NIKKEI地域経済より
静岡県内の証券取引所上場企業で、大阪や名古屋の証券取引所などの上場を廃止しようとする動きが広がっている。東京証券取引所に売買が集中する一方、他の証取での取引は限られているためだ。上場取引所を絞り込んで上場維持コストや情報開示のための事務負担を減らす狙いもある。取引所にとっては費用対効果を重視する企業から厳しい選別を受けることになる。
スズキは2002年8月に福岡証券取引所での上場を廃止したのを手始めに、計3証取での上場を取りやめる。3カ所合計で年間400万円弱の上場維持コストが減るという。 2月28日が名証での取引最終日となるムトウは、上場廃止により年間26万円の維持コストを削減する。名証での売買実績は1999年11月から無い。「維持コストととも に情報開示などの事務負担もあるため廃止を決めた」(担当者)という。
(引用終了)
大証がとりうる方策としては以下のとおり。
  1. 手数料の値下げ・基準の緩和
  2. 名証及び札幌、福岡証券取引所との合併・資本増強
  3. 棲み分けを目指す・追随放棄
手数料の値下げなどはデフレ下の対症療法の感は否めない。将来展望としての構想力は欠如している。ナスダックとの世界構想が無理なら、現在のアジア・中国市場の接近を続けるほかはない。しかしそれでも国内が磐石でなければ意味がない。大証本体の地盤沈下はすすみ東証との重複上場の廃止は避けがたいのなら、大証と名証、残りの地方証券取引所と合併することもあるかもしれない。

その場合には東証追随を放棄した棲み分け戦略を採用してほしい。地方重視のニッチ戦略である。地方の中堅・地場密着資本は、存続することと雇用を維持することがなにより大事である。間接金融だけでなく直接金融の選択肢も欲しいがリスクがあって踏み出せないでいる。地方の中堅・地場密着資本が、情報公開コスト・被買収リスク・税務上の問題を回避して上場できるスキームがあれば、その性格づけもはっきりする、と思う。

ヘラクレスが日本の屋台骨を支える“アトラス”になってほしいものだ。


■責任の所在、履歴の確認[ 2003年03月06日 ]

わさびの金印がなぜトレーサビリティに取り組むのか、からはじまりトレーサビリティの目的と今後の課題まで考えてみたい。

(引用開始)
金印わさび、トレーサビリティーシステム導入へ
【中部】2003/02/28 NIKKEI地域経済より
金印わさび(名古屋市、小林一光社長)は27日、消費者に製品の原料加工から流通までの情報を開示するトレーサビリティー(生産履歴の追跡)システムを確立すると発表した。食品の安全性に対する関心が高まっているため、主原料の栽培から加工・流通までの情報を電子データ化し、消費者や取引先などの要望に応じて提供する。今夏の導入を目指す。
また、3月1日付で社名を「金印」に変更する。昨年10月に、わさびなどの製造を手掛ける3子会社と、販売会社1社を傘下に収める持ち株会社に移行したのに伴い、社名変更でグループ経営を一段と明確にする。来月20日には生産子会社の金印わさび静岡(静岡県島田市)に新工場を完成させる。
(引用終了)
トレーサビリティとは、履歴情報である。トレーサビリティの目的は、問題が発生した場合の責任の所在を明らかにするためである。生鮮度の高い食品を扱う業者間の取引から可及的速やかに普及していくことになる。加工食品であるわさびは、最も生鮮度の高い食品である鮮魚を扱う寿司との関連性があるためトレーサビリティの確立が必須となってくる、と思われる。

企業が仕方なしにすすめている、と見えるトレーサビリティにもビジネスチャンスは存在する。履歴をつくる食品会社、履歴を運ぶ物流会社、履歴を情報化するシステム会社がそれぞれ他社との優位性を得るために参入してくるだろう。さらに履歴情報の(業者間の)公平性を保つために専門の合弁企業が設立されるか、履歴情報の透明性を保つために専門の独立資本の企業が設立されるようになるだろう。

トレーサビリティにも今後表面化してくる課題がある。その課題とは、履歴情報を最終消費者に伝達する手段である。情報は公開されると同時に適切に伝達されなくてはならないからだ。最終消費者に伝達する手段とその問題点をあげると、パッケージ表記には情報が膨大な場合の線引きが、バーコード・ICタグ読取りには専用システムの普及とプライバシーの保護が、Web公開にはデジタル・ディバイドが、店内冊子配付には即時性との兼ね合いがある。トレーサビリティの公開・伝達はこれらを併用した形で構築・運用されることになるだろう。

参考URL
昭和初期からわさびひとすじ:金印


■美味しい“かけめし”を食卓に[ 2003年03月05日 ]

伊予さつまとは、伊予・愛媛県の郷土料理である。白身魚のすり身をみそとだしで合わせ冷やし汁にしたものを麦飯にかけて食べる“かけめし”の一種である。薩摩・鹿児島県から伝わったということでこの名前が残る。この地域では瀬戸内海を挟んでの交流が古くからあって、同様の“かけめし”が各地に郷土料理として定着している。日向・宮崎県の冷や汁(ひやゆる、と読む)、大分県のリューキュー、伊予・愛媛県のひゅうが飯などがある。先方の名前を拝借するのが多いのはおもしろい傾向である。

冷やしか熱いかの違いはあるが“かけめし”は、丼物の原型といえる。東京名物の深川丼は、そもそもあさり汁を飯にかけて食べるものだった。丼物は、現在では各種類がポピュラーなメニューとなって食卓にのぼり、またファーストフード化されている。さらに『かける』という行為を考慮すると、カレーライスやハヤシはもちろんパスタも“西洋風かけめし”といえるだろう。パスタはイタリア統一戦争の際にイタリア南部から全土に広まり、その土地ごとの名を冠したソースが生まれている。

(引用開始)
義農味噌、郷土料理「伊予さつま」を4月に発売
【四国】2003/02/28 NIKKEI地域経済より
義農味噌(愛媛県松前町、田中義一社長)は愛媛県南西部に根付く郷土料理「伊予さつま」を4月に発売する。「さつま」はタイなど焼き魚のすり身と麦味噌(みそ)、魚のあら汁を混ぜ合わせ、麦飯にぶっかけて食べる料理。独自の技術で2カ月間の保存を初めて可能にした。手間のかかる郷土料理を容易に味わえるようにして、市場を開拓する。
当面は「さつま」の浸透している愛媛県を中心に家庭向けとして小売店への販売を狙う。このほか、東京都内に3月に開業する、同県のアンテナショップでも販売、外食店にも売り込むほか学校給食への導入も狙う。各地の県人会の会報を介して通信販売するなど、地道に古里の味を広める。
消費不振などによる価格の低迷で主力の味噌製品の売り上げは伸び悩んでいる。伊予さつまの販売は付加価値の高い加工味噌の展開に力を注ぐ同社の戦略の一環。
(引用終了)
さて今回発売の運びとなった伊予さつまをマーケティングしていくには、簡単には拡販していくか高級感を出していくかというふたつの方向があるだろう。問題は、拡販で首尾よくブームが発生したとしてもそれが地元の利益にかなうかということと高級感(ブランディング)を出そうにも元来“かけめし”はファーストフードとしての色彩が強いことである。

最近の例では神戸発祥のそばめしがある。そばめしブームの火付け役は、食品会社のニチロであった。そのあと冷食大手数社が参入したが各社とも神戸に本社があるわけでもない。「神戸コロッケ」のロックフィールドとはこの点で違う。そばめしが、ファーストフードであることも観光客を呼び込むにはむずかしかった。そばめしにかけるソースを広島の「オタフクソース」のよう関連性を持たせればよかったのであろう。もちろん神戸には地場ソースが数多く存在するが、そばめしブームが在京資本によっていたことに起因する。

伊予さつまは、地元企業の義農味噌が発売するので拡販しても地元への還元では問題ないだろう。となるといかにして元来はファーストフードの色彩が強い“かけめし”伊予さつまにどう高級感を出していくかが問題になる。ブランディングは在京資本と競争するときに必要になってくるからである。

元来それほど高級でないものを高級化した例に焼酎とパスタがある。焼酎は、庶民の酒で九州地場の蒸留酒であった。パスタは、庶民の味でイタリア南部の郷土料理であった。普及の過程で市場が質量ともに拡大するが、そうなると地元資本は在京資本に量で負け、質で負けやすくなる。そこでブランディングの出番となる。

焼酎・パスタでそれぞれ個別の企業の例をあげる。焼酎では、三和酒類の「いいちこ」が際立っている。徹底したマーケティング、ネーミングとコピー、イメージ展開、文化事業を含めたトータルコンセプトでブランディングをすすめている。パスタでは、ロンドンのスローン・ストリートにある百貨店ハーヴェイ・ニコルズの手がける(パスタを含めた)食品類である。ラベルにモノクロのコンテンポラリー写真、タイポにフーツラ字体(サンセリフ書体のひとつ)を用いて洗練された印象のブランディングを成功させている。

地域の特色である土着性や自然を前面に押し出すブランディングよりも土着性を包含するモダナイズされたブランディングのほうが、在京資本に対して硬性のあるブランディングになるだろう。またこのブランディングであれば、各地の“かけめし”をラインナップするにもすぐれているだろう。各地の“かけめし”ラインナップに期待したい。

参考URL
愛媛県の地場メーカーで伊予さつまを発売する:義農味噌
大分県の地場メーカーで「いいちこ」で有名:三和酒類
ロンドンはスローンストリートに本店:ハーヴェイ・ニコルズ

大衆食堂とぶっかけめしを研究するザ大衆食から:「ぶっかけめし復権本部」


■レギュラシオン派的農業分析[ 2003年03月04日 ]

経済学派にレギュラシオン派がある。レギュラシオン派の用語にフォーディズム、トヨタイズムというのがある。フォーディズムは、流れ生産方式・規格化大量生産方式のことであり、トヨタイズムは、カンバン方式・少量在庫多品種生産方式のことである。これらふたつの用語がどのように日本の農業の近代化に関係あるかを述べていく。

(引用開始)
くめ・クオリティ・プロダクツ、独自商品を強化
【関東】2003/02/28 NIKKEI地域経済より
納豆大手のくめ・クオリティ・プロダクツ(茨城県金砂郷町、石塚昇一郎社長)は、原料や具材で特色を出した独自商品を強化する。3月にヒジキを加えた納豆を投入するのを手始めに、2004年6月期末までに5種類程度の新商品を追加する。独自商品の割合を現在の4割以下から、来期中に5割へ引き上げる。一服感のある納豆消費をテコ入れすると同時に、価格競争に強い商品を育てる。
「ひじき入り納豆」(3パック入り、オープン価格)を1日に発売する。鉄分が多いヒジキを加え、貧血が気になる主婦らの購入を見込む。目標月商は3000万円。「麦入り納豆」(2パック入り、128円)も今秋に包装を一新し、販売エリアを関東から全国に拡大する。
今秋2品、来春3品の新商品を予定する。「健康志向や高級感を切り口に特色を出したい」(高橋敏清取締役)という。来期は新たに投入する商品だけで売上高の1割を確保する。
(引用終了)
もやし、まいたけ、納豆の共通点とはなんであろうか? それは収穫量に季節変動が少ない→価格変動が少ない。安定した品質で供給できる→規格化生産ができる。よって需要動向に集中できる→近代的マネジメントを導入すれば拡大成長しやすい、といったことがあげられる。すなわち規格化大量生産方式(フォーディズム)に向いた生鮮野菜なのである。納豆は、野菜・きのこ類と違って大豆から加工されている。しかし総務庁統計局「家計調査年報」で豆腐、納豆などの大豆加工品は野菜・海草とおなじ項目でくくられており、生鮮野菜に分類してみた。

こうした生鮮野菜の生産企業は、技術的にも資本的にも参入障壁が低かった初期にくらべて資本増強しながらの拡販・技術開発がすすみこの分野での大手が形成されている。

最近では食品の安全性の観点からスローフード、有機野菜、トレーサビリティ、環境コストといった概念や農法が盛んに叫ばれるようになった。しかしいずれにせよ規格化大量生産方式(フォーディズム)を採用して近代的マネジメントを身につけた企業にこそ、これらの概念や農法を普及させるに足る資本力や技術力があるのではなかろうか。

ようするにフォーディズムを経ないとトヨタイズムはなく、ファーストフードを経ないとスローフードがないように、近代的マネジメントを経ないと日本の農業全般の発展はないということになる。

参考URL
楽天市場内にある:くめ・クオリティ・プロダクツ
大豆食品業界の専門誌:デイリーフード


■和菓子とお茶にはじまる“しまねブランド”[ 2003年03月03日 ]

ケーキと紅茶の美味しい関係から生まれる甘い生活から類推して、島根県の県産品のブランド化を考える。

(引用開始)
島根県、県産品のブランド化目指し3品目選び支援
【中国】2003/02/26 NIKKEI地域経済より
島根県は2003年度から県産食品のブランド化を目指して、特に有望な3品目を選んで重点的に育成する。専門家も加えてプロジェクトチームをつくり、大消費地で知名度を上げるための密着指導をする。
6月をメドにブランド化を狙う生産者団体を公募し、具体的な戦略や生産者の意欲などを基準に3品目を選定する。各品目に専門家と担当職員を配置。03年度はそれぞれ最大250万円の助成金をつけ、東京で評価されるモノづくり、販売手法を練る。県が02年度にオープンした東京の県産品販売コーナーなどでも優先的に売り込む。3年間を目安に育成し、生産・販売面で具体的にどんな改善が必要だったか、各品目の取り組みを他の生産者団体にも情報公開する。
県は昨年4月に「しまねブランド推進室」を設け、県産品の販売促進を強化した。東京や大阪で県産品の知名度が低いため、有望な品目で売り込みの突破口を探る。
(引用終了)
ケーキと紅茶の美味しい関係がどう甘い生活につながるかというとつぎのとおりだ。美味しいケーキを食べたい。美味しいケーキに合う紅茶を飲みたい。美味しいケーキと紅茶にふさわしいところで食べたい・飲みたい。美味しいケーキと紅茶にふさわしいところを自分の生活全般で再現したい。ようするにケーキが売れれば紅茶が売れるしカフェが流行る。そのカフェのエクステリア・インテリア・雑貨も売れるということだ。“風が吹けば桶屋がもうかる”よりは無理のない連関であろう。

出雲(現・島根県)の松江は、お茶と和菓子の消費量が全国平均を越える。これは松江藩第7代藩主松平不昧公(治郷)が茶道に精通しみずからも「不昧流」をたてたことによる。ようするに良い茶が求められる。その茶に合う和菓子が求められる。かくしてその茶と和菓子を親しむ文化が発展した、ということになる。

これも和菓子と茶の美味しい関係であろう。甘い生活の全般を演出するインテリア・雑貨などがあればさらによい。

島根県では、「しまねブランド」と銘打って県産品のブランディングが求められている。そのコアとなる商品はなにがふさわしいだろうか。それには、そのコアとなる商品に全般的な発展性があること。他の商品と直接的な連関性があること。単体の商品としての訴求力があること。これらが条件となる。となれば松江の和菓子が最適なのはだれの目にも明らかであろう。島根県もこの流れでブランディングを企図しているに違いない。

ブランディングはつぎのような段階でおこなわれるのが望ましい。はじまりの点として松江の和菓子(含む洋菓子)の新製品の普及。つなぐ線としてそれに合うお茶(含む紅茶)の開発。あらわす面として伊勢神宮の「おかげ横丁」のような観光スポットの整備。全般の文化概念として島根県のその他の特産物を組み合わせて販売する。ブランディングには各業者や自治体などの緊密な協力が欠かせないのはいうまでもないだろう。

参考URL
島根県産品のブランド化をすすめる:しまねブランド
不昧公考案の和菓子『若草』を現代に甦らせた:彩雲堂


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