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■ニュースコメント[ 2003年02月分 ]

経済ニュースコメントのバックナンバーを保存したいと思います。とくに地域経済のコメントを重点的にしていきます。
ニュースソースは主にNIKKEI地域経済から引用しています。
リンク切れの場合を考慮して全文引用しています。

■跳ねるワラビー通り[ 2003年02月28日 ]
■地方競馬をF1方式にしよう![ 2003年02月27日 ]
■記号性からの逃亡[ 2003年02月26日 ]
■鈴与→味の素→JMS[ 2003年02月25日 ]
■ケーブルで登るとそこは遊園地だった[ 2003年02月24日 ]
■カフェブームのあとで[ 2003年02月21日 ]
■ドールハウスを訳すと“おひな屋敷”[ 2003年02月20日 ]
■カミーノ、巡礼の道[ 2003年02月19日 ]
■カリーノはプチ・パルコとなるか?[ 2003年02月18日 ]
■あなたはドイツ流、それともイタリア流?[ 2003年02月17日 ]
■6年に1度きりなんて[ 2003年02月14日 ]
■コミュニケーションの海のタグボート[ 2003年02月13日 ]
■“和洋折衷”から“遅速折衷”へ[ 2003年02月12日 ]
■未来のイコン[ 2003年02月10日 ]
■雑貨にはライフスタイルとなるストーリーがある[ 2003年02月07日 ]
■南国土佐のNo.1キャラは龍馬ではなくアンパンマン?[ 2003年02月06日 ]
■土産菓子で一獲千金[ 2003年02月05日 ]
■21世紀の丁稚奉公[ 2003年02月04日 ]
■あなたの一票を合法的にお金に変える方法[ 2003年02月03日 ]
■ぼくらはお菓子でセンス・オブ・ワンダーを味わう[ 2003年01月31日 ]


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■跳ねるワラビー通り[ 2003年02月28日 ]

“日本一小さな市”の商店街が仕掛ける企画は、街のコンセプトに合っているのだろうか。蕨の歴史からコンセプトを考えてみよう、と思う。

(引用記事開始)
蕨市商店団体、貸ボックス集めた店舗オープン(日経)
【関東】2003/02/26
商店街の一等地に低価格で販売スペースが持てます――。埼玉県蕨市の商店街で構成する「蕨西口近代化事業促進協議会」は今夏、品物を持ち込んで販売できる貸ボックスを集めた店舗を開設する。商工業者や個人などが手軽に出品できる場を提供し、商店街のにぎわいを創出する。
「ボックスショップ」(仮称)はJR蕨駅西口近くの駐車場の一部に設置する。敷地面積は30平方メートル余りで、4月に着工し、6―7月にオープンする予定店舗内に合計48の貸ボックスを用意する。月額使用料金は各辺45センチの貸ボックスが1500円で、横幅を90センチに広げたものが3000円。出店者は管理費として売り上げの5%を支払う。
広さ3平方メートル強の貸スペースも三つ設け、大型商品の出品にも対応する。月額使用料金は1万2000円。
(引用記事終了)
蕨市の商店街がオープンするこの店鋪は貸スペースである。ただこうした貸スペースには、コンセプトが付随しないので、セレクトショップにあるバイヤー制を導入するか、画廊のようにキュレイターを採用するのが望ましい。さらにいえば、その貸スペースやショップがどのように蕨およびその商店街の発展に寄与するのか、についての一貫したコンセプトが欲しい。

コンセプトを発見するにしても、東京のベッドタウンとして発展してきた蕨では特徴がはっきりしない。日本一小さな市でもある蕨市は、駅の東口はすでに川口市に入ってしまう。この貸スペースショップを企画したのは当然西口の商店街となる。すでにして蕨市民としてのロイヤリティを持つ住民の数は限られてしまうわけだ。しかしこれは逆説的には対象となるエリアをしぼりやすいということでもある。すなわち今あるロイヤリティのコアを強化しつつ、徐々に拡大していくことが求められる。そのためには蕨の各商店街の不可分の協力が必要だ。

蕨は、旧中山道(中仙道)の宿場町として始まった街である。現在でも旧中山道の通りは、風情あるたたずまいの商店が軒を列ねている。中仙道蕨宿商店街である。ここがメインストリートだったのだが、鉄道の開通によって人の流れと商圏の中心が駅前に移動したのはいうまでもない。

しかしながらこの商店街こそ蕨の発祥地であり、はじまりのジーン(遺伝子)を今も伝えているのだ。蕨という街の個性ある発展を考えるとき、この中仙道蕨宿商店街を外すことはできないであろう。すでにこの商店街では、旧中山道のイメージとその古い町並みを生かした活性化策がおこなわれている。駅前の商店街が、これにあわせて人の流れを連結すれば商圏の拡大と相乗効果が見込まれるだろう。

参考URL
旧中仙道についてのサイト:中仙道
中仙道蕨宿商店街の公式サイト:中仙道蕨宿


■地方競馬をF1方式にしよう![ 2003年02月27日 ]

地方競馬の理念とはそもそもなんだったのだろう。それを知ることが地方競馬再建のもっとも近道であると思う。

(引用記事開始)
高知競馬で県が再生案、県市で累積債務など129億円負担
【四国】2003/02/07 (日経)
高知県は存廃が検討されている高知競馬の再生支援策を6日に開かれた県議会産業経済委員会で提示した。累積赤字88億円と競馬場施設の償還残金41億円を、県と高知市が出資比率に応じてそれぞれ15分の11、15分の4ずつ負担する。同時に運営協議会を新設して1開催ごとに収支を算出、2003年度の単年度黒字化を目指す。
この支援策について県農林水産部は高知市側にも提示済みであるとしたうえで「すぐに元金返済を予算化することは難しいが利息分は計上できると聞いており、原則として同意いただいたと理解している」と述べた。
経営効率化策として、通常2―3日間の開催ごとに収支を検証。赤字になった場合は次の開催の経費を減額する。

ばんえい競馬運営の組合、旭川など4市に支援要請
【北海道】2003/02/25(日経)
赤字が続くばんえい競馬を運営する北海道市営競馬組合(管理者=菅原功一旭川市長)は、組合を構成する旭川、北見、帯広、岩見沢の4市に対し、競馬場使用料の50%減額などを柱とする支援を要請した。4市は3月8日に開催する組合の定例議会までに、具体的な支援策をまとめる。
同組合はほかに、4市が組合職員を1人ずつ、一定期間受け入れることも要請している。
ばんえい競馬は今年度、累積赤字が15億円を超えることが予想され、存廃問題が浮上している。同組合が監査法人に依頼して昨年11月に作成した調査報告書は、競馬場使用料の大幅削減やレース賞金の削減、開催地の集約を検討するよう提言している。
(引用記事終了)

地方競馬の意義は順番として第1に地方畜産業の育成・保護、第2に雇用などの地域経済への波及効果(地域振興)、第3に地方自治体の財源確保(財政寄与)であったと思う。

現実としてはこの逆であろうけど。だからこそ現在は競馬場の収支均衡・黒字化が要求されている。単体での黒字が実現できなければ雇用も産業育成も吹き飛ぶところに来てしまっている。加えてその後の発展性を考慮すれば、各地の地方競馬との合併による規模拡大はどうしても必要だ。所管官庁の違う中央競馬会(JRA)への吸収を望まない意識はあるだろうからそれしかない。

かつ業態内のイノベーションもおこなわなければいけない。それもJRAとまったく違うアプローチで。たとえばレースに関してだけでも、トータリゼータ方式をやめてブックメーカー方式に変更して民間資本参入をうながす。また馬主・生産者ごとのオーナーズ・チャンピオンやブリーダーズ・チャンピオンなどに焦点を当てたF1のようなシリーズを導入する。中央競馬では認めていない外国居住馬主の参加を容認してUAEなどのオイルマネーを引き込む方法などがあるのではないか。

もう一度地方競馬の意義を振り返ってみるとしよう。地方畜産業(牧場)の育成・保護は、いつしか「庭先取引」などの慣例化・停滞を生み出し新しい顧客を海外のセリなどに流出させてしまった。地域振興では、各自治体の枠にとらわれすぎて大々的なマーケティングをおこなっていたJRAとの格差を賞金額で10倍以上つけられてしまった。財政寄与には、業態のイノベーションをはかってきたJRAと官僚的なマネジメントしかおこなわなかった両者を見る限りビジネスマインドが必要なことがわかる。

最後に現在でもなにひとつ地方競馬の理念・意義は失われていないという事実を再確認してもらいたい。それを曇らせている原因は理念・意義を失った人の内にあるということがわかると思う。

参考URL
高知競馬オフィシャル:Ryoma Derby
北海道市営競馬オフィシャル:ばんえい競馬


■記号性からの逃亡[ 2003年02月26日 ]

さくら野百貨店は、大手スーパー・マイカル傘下だった東北各県の百貨店が合併して発足したダックビブレがマイカル破綻後に社名変更したものである。この変更はグループ解体に伴った緊急避難的な性格を持っているが、本来の目的であるべきアイデンティティ確立の観点から見て妥当なものであるのか分析したい。

(引用記事開始)
さくら野百貨店が仙台店改装、目玉はセレクト系 (日経)
【東北】2003/02/22
さくら野百貨店(仙台市、臼井修社長)の旗艦店で、3月末に再オープンする仙台店の改装計画が21日、明らかになった。衣料品の「ユナイテッドアローズ」など東北初進出の14店舗が入居する。自社衣料品と海外調達品を並べるセレクト系ショップを目玉にし、主に20代―30代前半の女性客を呼び込む。
仙台店は地上8階、地下2階建て。東北初進出のその他のセレクト系ショップは「イエナ」「ルージュビフ」「スピック&スパン」など。婦人服売り場は改装前より1フロア増やし、ミセス向けも強化する。「今後は高級ブランドも誘致したい」(同店)。
売り場面積を約1000平方メートル増やし、約2万4000平方メートルにする。通路を広げ買い物をゆっくり楽しめるようにする。改装費はテナント側の支出も含めて約22億円。
同社はマイカル子会社だったダックビブレ時代の2001年9月に破たん。その後自主再建を進めると同時に、大幅改装のため仙台店を昨年12月末で一時閉鎖した。改装後の年間売り上げは、破たん前の約2割増の200億円以上を目指す。
(引用記事終了)
記号は、言語的情報と視覚的イメージによって構築されている。企業の社名や企業グループのCI(コーポレート・アイデンティティ)もこのふたつによって記号化されている。しかもここで構築される記号は、企業の最初の商品である。消費 されるマーケティングの対象物なのである。記号性には、形而上的意味・思想と形而下的な感覚・感性のふたつの方向性 がある。形而上的な意味・思想を記号に持たせるには、言語的情報を優先して視覚的イメージはそれに付随させなければ いけない。形而下的感覚・感性を記号に持たせたければ、その逆に視覚的イメージを優先して言語的情報をそれに付随させる必要がある。すなわち前者は「コンセプチュアル」であり、後者は「エモーショナル」であろう。

この両者の記号化の例証として最適なのは、セゾングループに属した「無印良品(良品計画)」と「パルコ」である。

「無印良品」は、“無印”と銘打つことでアンチ・ブランドを表明して記号性が不在であるかのような印象を与えるが、“良品”という記号部分で自然・環境などのコンセプトを明確に主張している。またイメージは、それらの記号にあわせて商品を視覚的に説明する補佐役をになっている。

一方の「パルコ」は、“なにか違うものがあるかもしれない”というイメージ広告で感性に異化的な刺激を与える。また記号である社名のPARCOやコピーは、異化的なイメージにあわせた興味をかき立てるだけで意味を内包していない。

これらの違いは「無印良品」が、アンチ・ナショナル・ブランドから出発した合理的なライフスタイルの提案性を当初から持っていたことで記号性にもリーズナブルな軽量化を要求したこと。「パルコ」が、それ自体はファッションビルの大家にすぎず一切の中身を持たなかったがゆえに魅力あるテナント出店のリクルート補助策として記号性の過剰を要求したことがある。これらを見る限り企業の記号には、「コンセプチュアル」か「エモーショナル」かの選択肢が与えられているとわかる。

記号は、「コンセプチュアル」か「エモーショナル」である。記号が「コンセプチュアル」であるにはコンセプト決定の討論が欠かせないし、「エモーショナル」であるには感性への投企・ベンチャーが欠かせない。中途半端では商品としての記号性を十全に持ちえないだろう。その中途半端さの例証が、ひらがな・アルファベット略号による社名変更・CIである。これらは銀行・素材産業などの統合に多く見受けられる。果ては自治体の合併にも散見される。

すなわちひらがな・アルファベット略号CIに「コンセプチュアル」が欠けているのは、その合併・統合が景気などの情勢変化による緊急避難的なためコンセプトの未熟成があり、「エモーショナル」が欠けているのは、旧企業の歴史的経緯の内在性の厚みによる記号性追加の拒絶のゆえである。さらにそれらを助長しているのが討論のあつれき・投企のリスクを怖れる官僚的な事なかれ主義であるのは言を待たない。安易な記号性からの逃亡は避けるべきだ。

翻って「さくら野百貨店」という記号はどうであろうか。やはり中途半端の観は拭えない。地域密着性を重視するにしても、もう少しコンセプトにおける討論が必要である、と思う。

参考資料
『セゾンの発想』(特に005〜060ページ)
上野千鶴子他著 リブロポート発行 1991年11月25日初版


■鈴与→味の素→JMS[ 2003年02月25日 ]

リストラクチャリングの正しい用法とは?

(引用記事開始)
JMS、清水製薬から腹膜透析事業を承継(日経)
【中国】2003/02/18
ジェイ・エム・エスは17日、3月1日付で清水製薬(静岡県清水市、湯川利秀社長)グループから腹膜透析事業を承継すると発表した。譲渡価額は5億円。透析部門を拡大し収益力を高める狙い。
譲り受けるのは清水製薬が生産する透析液「PDソリタ」の製造承認。同社の子会社であるシミズメディカル(東京・港、湯川利秀社長)からは同製品と透析関連機器の販売権を承継する。工場の移転が必要なため、製造は厚生労働省の認可が下りてから着手する。
2003年3月期の業績には影響しないが、2004年3月期に透析事業の連結売上高(前期は145億円)を約5億5000万円押し上げる見通し。
(引用記事終了)
清水製薬は、港湾輸送・海運・陸運を手がける鈴与の子会社で主に医療用の輸液を製造していた。しかし鈴与のコア・コンピタンスであるロジスティック部門に属さないため、事業リストラクチャリングの対象事業として味の素に売却された。1)

味の素は、1980年代からフランスの食品大手BSNジェルベダノン(現ダノングループ)と提携している。また薬品でもフランスのルセルと提携したルセル森下(現アベンティス・ファーマ)を経て、99年に味の素ファルマを設立している。今年の1月ギリシアの海運王オナシスの遺産を孫娘が継承したが、彼女の父親は上記の製薬会社を創業したルセル家の出身である。

JMS(旧日本メディカル・サプライ)は、医療用具の製造販売大手である。味の素傘下になったばかりの清水製薬からJMSが事業拡大中の透析液ならびに透析機器部門の譲渡を受けることとなった。

このように清水製薬は、各社の事業リストラクチャリングの過程で再編されている。ともあれこれが事業強化のための本来のリストラというものである。

参考URL
清水港を基盤とする物流大手: 鈴与
アミノ酸技術を基盤とする: 味の素ファルマ
医療器具の製造販売大手:JMS

1)毎日新聞 投資&マネーから
味の素、清水製薬およびシミズメディカルの買収を発表


■ケーブルで登るとそこは遊園地だった[ 2003年02月24日 ]

大分県別府にあるレトロな遊園地の起死回生策とは?

(引用記事開始)
別府の老舗遊園地「ケーブルラクテンチ」、営業譲渡へ(日経)
【九州・沖縄】2003/02/13
大分県別府市の老舗遊園地「ケーブルラクテンチ」を経営する別府国際観光(一宮淳社長)が、経営不振から営業譲渡先を探すことになった。12日の株主総会で、受け皿探しを本格化することを決めた。別府市にも協力を要請する。営業は継続する。
ラクテンチは別府湾を見下ろす高台に1929年に開業。動物園や演芸場も併設し、県内有数の桜の名所でも知られる。高度経済成長期には観光客や修学旅行生でにぎわい、ピーク時には年間70万人の入園者を記録した「別府観光の顔」の一つだった。
87年には別府国際観光の母体である石油販売・不動産の新光グループ(大分市)が買収。昔ながらの雰囲気を逆手にとり「レトロ調」でアピールした時期もあったが、最近は入園者数も20万人台に低迷していた。累積赤字は5億円。
(引用記事終了)
ケーブルラクテンチというネーミングは、デンキブラン(明治15年浅草で誕生したブランデーベースのカクテル)との近似性を感じさせてくれる。日本一急勾配のケーブルカーで登り下車すると拡がる園内は昭和初期の往時の雰囲気をよくとどめている。サイト検索して一見しただけで口を挟むのもおこがましいが、非常に“ぬるそう”である。何もかもが“ぬるそう”な穏やかさに囲まれて取り残されている。それは悪いことなのではなく、むしろすばらしいことであるが。

レトロスペクティブの視点をビジネスに持ち込むことは昭和30年代を中心に取り入れられていて「新横浜ラーメン博物館」や「ナムコ・ナンジャタウン福袋餃子自慢商店街」はその成功例である。

ではケーブルラクテンチのどこが問題なのか。それは昭和30年代以前となると、郷愁を感じて来園してくれる世代がもはや引退しているか存命ではないということと、今の世代にしてみればあまりにも遠すぎてリアリティが感じられないということだ。ゲームから派生した『サクラ大戦』(大正時代を太正時代としているが)のようにファンタジーの対象にすらなる。

もうひとつは新しい消費の導線に乗っていないこと。冒頭のデンキブランが飲める浅草の神谷バーもいまだ根強い人気があるが、決してブレイクすることはない。新しいスポットにコンセプトとしてのレトロスペクティブを盛り込んでいるわけではなく、本当のレトロだからだ。浅草の花屋敷が存命できるのは導線の背後にある人口のパイが大きいからで、これはケーブルラクテンチのある別府で望めるかはわからない。

やはりもう一工夫が欲しいところであるが、ふと思ったことがある。宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』の舞台を似ているのではなかろうか、と。劇中の「油屋」内部のモチーフが目黒雅叙園であることは知られた話で、ケーブルラクテンチがここの壮麗さにかなうべくもないのだが、千尋が銭婆に会いに行くために乗車した海原電鉄をケーブルラクテンチ園内に乗り入れるケーブルカーと近似させることで新しい切り口を加えることはできるのではないかと夢想してみた。すでに「江戸東京たてもの園」(劇中の町並みはここが参考に)で同様の試みはおこなわれているが、サンリオにおけるピューロランドとハーモニーランドの関係ということでいかがであろうか。

参考URL
大分県別府市にあるレトロな遊園地:ケーブルラクテンチ
浅草にあるデンキブラン発祥のバー:神谷バー
江戸東京博物館の別館でもある:江戸東京たてもの園
昭和の竜宮城と称された:目黒雅叙園


■カフェブームのあとで[ 2003年02月21日 ]

90年代の終わり、東京では個性豊かなカフェが続々誕生した。
インテリア、BGM、ライティング、そして料理と要素の組み合わせを変えていくだけで実に雰囲気の違う店が可能なのだ。今や東京で花開いたカフェ文化(または資本)が各地に種を蒔こうとしているが、地方ではこれに対抗した独自性が問われている。

(引用記事開始)
金沢市、美術館のカフェレストラン経営者を公募 (日経)
【北陸】2003/02/19
金沢市は2004年秋に市役所隣に開館予定の金沢21世紀美術館の一角に開設するカフェレストランの経営者を公募する。美術館との調和を保ちつつ、それ自体が集客力のある店舗を設ける。民間のアイデアや経営戦略を活用することで、まちのにぎわい創出につなげたい意向だ。店舗面積は約225平方メートルで、座席数はテーブル48席、カウンター12席を想定。営業時間は午前10時―午後10時で、喫茶、レストラン形態でアルコールもメニューに加える。
テナント料は月額約40万円で、内装や基本的な什器(じゅうき)は市側が貸し出す。応募資格はカフェレストランの経営が3年以上あるか同等の実績がある人で、近現代美術を中心とする同館に適し、女性やファミリー層が主要客となるセンスの良い店舗を提供できる人となる。27日に市で応募業者への説明会を開催。3月3―31日に応募申込書を受け付ける。問い合わせは同館建設事務局(電話076・220・2800)。
(引用記事終了)
カフェ及びレストランとミュージアムの合体はそう珍しいものではない。上野の美術館には古くからレストランが併設されているし、上野公園全体を考えれば精養軒もあり高級洋食とアートとで相乗効果は発揮されてきた。そもそも日本は、デパート美術館で絵画を鑑賞したあと食事をし、画廊の多い銀座で個展を見たあと買い物・食事を済ませるという他の国にはない特異なスタイルを生み出してきた。

近年の例だけでも、1980年代には世田谷美術館(86年開設)がフレンチレストラン「ル・ジャルダン」を、90年代には東急Bunkamura(89年開設)がオープンカフェ「レ・ドゥ・マゴ」を併設するなど時代性に敏感に反応もしている。最近ではセレクトショップ・雑貨系インテリアショップ・デザイナーの側からカフェを経営しようという流れもカフェブームの多様性を支えた要素であるとわかる。

現在東京では多様性あるカフェブームが一巡して、ビジネスとしてのカフェが前面に出ている。オープンカフェの先駆である「ひらまつ」も上場予定である。このようにカフェブーム一巡の東京ではなく、小京都として知られた金沢でどこまで新たなカフェ文化が生まれるかに期待したい、と思う。

カフェの収支、美術館とのコンセプチュアルな相乗、金沢全体への食文化・経済への波及という順番でビジネスは展開するが、理念としてはこの逆の順で考慮されることになるだろう。

参考URL
カフェ経営者募集要項もある:金沢21世紀美術館


■ドールハウスを訳すと“おひな屋敷”[ 2003年02月20日 ]

主に有田焼で有名な肥前・佐賀県の新しい試み「佐賀城下ひなまつり」について産業振興の面から考察する。

(引用記事開始)
佐賀市、「佐賀城下ひなまつり」の商標登録出願 (日経)
【九州・沖縄】2003/02/15
佐賀市は15日に開幕する「佐賀城下ひなまつり」の名称について商標登録を出願した。佐賀のひなまつりのイメージを高めて観光イベントとして育成するため、名称を安易に使用した質の低い便乗商品やサービスを排除する狙いだ。同市によれば「自治体が商標登録を出願する例はまだ珍しい」(産業部)という。
「佐賀城下ひなまつり」は2001年に始まったイベントで、佐賀鍋島藩に古くから伝わるひな人形やひな道具などを展示。昨年は福岡県など近県からの観光客も含めて7万2100人を集めた。3回目の今年は開催期間を春休みシーズンの3月末まで延長し、さらに集客増を狙っている。
実際に登録されるまでには半年から1年程度かかるが、出願時点から他者が無断で類似商標を使うことはできなくなる。お菓子や土産物などに「佐賀城下ひなまつり」の名称を使いたい企業には、同ひなまつり実行委員会に申請してもらう。
(引用記事終了)
「佐賀城下ひなまつり」は、旧佐賀藩主・鍋島侯爵家伝来の雛人形などのコレクションを佐賀市内に点在する昭和初期までの近代建築(佐賀市歴史民俗館など)において展示・公開される。

現在のところ、おひなさまを飾るということで和風建築を中心とした展示会場でイベントも和風を基調にしているが、佐賀市歴史民俗館を構成する建築物のうち旧古賀銀行は洋風近代様式であり、カフェも併設されている。そこでおひなさまを飾ったカフェで英国風のティーパーティーを同時開催しても高級感や落ち着きの面で違和感はとくにないだろう。そのティーパーティーで同じ佐賀県内の有田焼を使ったり、おひなさま柄のティーセットがあれば相乗効果になるだろう。

ところで洋風の人形遊びというとドールハウスが、トラディショナルな趣を残している。しかもおひなさまと違ってドールハウスは、季節を問わず遊べる。成人してもホビーとして続けられる。またドール作家になれるしその市場もある。企業としては、セット販売による一過性ではなく、一度同じ規格で購入してくれれば顧客の囲い込みができる、といったメリットがある。

今後佐賀市では「佐賀城下ひなまつり」をイベントにとどまらず街と佐賀県全体の産業振興に、と企画されているだろう。もしも市民参加を含めた広範な振興を考えるなら、洋風のドールハウスに似た和風の“おひな屋敷”を企画して人形や屋敷またはその小物づくりの作家を育成・支援していくことからはじめ一種の産業クラスターを形成するのがよいだろう。

この“おひな屋敷”の企画であれば、もっぱら佐賀市などが規格化することで各地の人形産地に優位に立てる。また伝統的な人形産地とバッティングしない。ドールハウスの技術を海外から移入することで国際交流にもなる。またそれほどの市場規模がないので大手企業が参入しにくい。県内の有田焼との相乗効果で高級イメージを与えることが容易である。さらに上記にあげた顧客の囲い込みによるメリットも期待できる。そういった可能性から和風のドールハウス=“おひな屋敷”という企画は有望ではないか、と思う。

参考URL
旧佐賀藩主・鍋島侯爵家の博物館:徴古館
市内の近代建築を整備して総称: 佐賀市歴史民俗館(佐賀市HP)
佐賀城下ひなまつりのメイン会場周辺の:柳町まちづくり協議会
有田焼で有名な有田町オフィシャル:有田オンライン

日本におけるドールハウスの草分け的存在:カドー


■カミーノ、巡礼の道[ 2003年02月19日 ]

新潟の古町通にあるSC「カミーノ古町」は、専門学校へと再開発されることになった。消えてしまうこの「カミーノ」の意味はなんであろうか?

(引用記事開始)
「カミーノ古町」再開発、生徒1600人の専門学校に(日経)
【甲信越】2003/02/15
専門学校運営の新潟総合学院(NSG)グループの国際総合学園(新潟市、渡辺敏彦理事長)は買収した新潟市古町の商業施設「カミーノ古町」の再開発計画を固めた。音楽、ファッションなど4つの専門学校を2004年4月に開設する。学生数は1600人を見込む。新潟市の繁華街、古町周辺では大学など教育機関の進出が相次いでおり、若者の増加により停滞が続く商店街の活性化につながる可能性がある。
開校するのは外国語やホテル、空港、旅行関連業務を学ぶ「国際エア・リゾート専門学校」、音楽の「国際音楽エンタテイメント専門学校」、ファッションの「新潟ファッションビジネス専門学校」の既存3校に加え、来年4月に新たに設立予定の結婚関連業務の専門学校の合計4校。当初検討した物販店の入居は見送る。
国際エア、国際音楽の2校は新潟市内の既存校舎を移転・拡張する。ファッション専門学校は既に古町商店街内にあるが、人気が高くて教室が手狭なことから2号館として活用する。
(引用記事終了)
「カミーノ」の意味は、スペイン語では“道”、イタリア語では“かまど・暖炉・煙突”とふたとおりある。「カミーノ古町」はどちらの意味から来ているのか、推測してみる。

新潟の総鎮守である白山神社からの道はまっすぐに古町通につながっている。このことから「カミーノ古町」のネーミングは、スペイン語の“道”から由来していると思われる。

エル・カミーノ(EL CAMINO)といえば、ヨーロッパの人、またはキリスト教徒ならばサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路を思い起こすだろう。9世紀に聖ヤコブ(サンティアゴ)の墓が発見されてから、この聖地を訪れようとする巡礼者がたどる街道のことをいつしか定冠詞をつけて単にカミーノと呼称する ようになった。

かつては日本でも信仰が生活の中心であり、社寺の門前に人がにぎわい市場が栄えた。新潟の古町通もまた白山神社の門前の市というかたちでメインストリートになった。しかし近代化の流れにともない衰退化せざるをえなかった。

今後も古町通の中小商店が、継続して発展していくためにはやはりその原点を忘れてはならない、と思う。現在でも20年以上つづくイベント「古町どんどん」、地元出身の漫画家水島新司の描くキャラクター像が設置されるなどの動きがあるが、白山神社への参拝を観光化できれば、その一環として大規模資本に対抗できる地元商店ならではの歴史ある個性を発揮できると思う。古町通に開校される観光、ファッション、エンタテインメント系の専門学校ともその線で連携するのがよい、と思う。

参考URL
新潟の総鎮守である:白山神社
新潟の専門学校最大手である:NSGグループ
新潟古町通の公式サイト:ふるまちどっとプレス


■カリーノはプチ・パルコとなるか?[ 2003年02月18日 ]

九州最大手スーパーだった壽屋が、民事再生手続き申請をして破綻したのは2001年12月。本体は不動産管理会社に転換して社名も「カリーノ(イタリア語で“かわいい”の意)」に変更された。1)

(引用記事開始)
カリーノ宮崎、来月14日オープン (日経)
【九州・沖縄】2003/02/14
寿屋が社名変更したカリーノ(熊本市)の馬場英治社長は13日、宮崎市内で会見し、休業中の「宮崎寿屋百貨店」が同社運営の商業テナントビル「カリーノ宮崎」として3月14日に開業すると発表した。再出発する寿屋の店舗としては101店目となる。
同店は宮崎市の中心市街地である高千穂通りに面した地下2階、地上9階のビル。寿屋の店舗の中で売り場面積が最大だったが、同社が民事再生法適用を申請したことに伴い、昨年2月から休業していた。
カリーノ宮崎はテナントの出店準備の都合などで、当面1―6階の43テナントでの営業となる。最終的には67テナントになる予定で、年商80億円が目標。服飾店、雑貨店に加え、家具店、書籍店やレストランも入居する。馬場社長は「多層階店舗のカリーノへの変更は、今後の物件活用の試金石になる」と語った。宮崎県内では都城店のカリーノへの転換を検討している。
(引用記事終了)
旧壽屋各店鋪のうち食品スーパー「くらし館」35店鋪は、イオングループに譲渡され「マックスバリュ九州」として営業を続行。えびの店、日南店は、スーパー「大和」(本部・鹿児島県川内市)が引き受けた。水俣店は、生活協同組合「水光社」(本部・水俣市)が改装して再開。本渡店は、太陽企業グループ(本渡市)による新たに「リンドマールTAIYO」としてオープン。宇佐、三重(いずれも大分県)、唐津(佐賀県)、日向(宮崎県)の各店は、量販店の「トライアルカンパニー」(本社・福岡市)が再開または再開予定である。

捨てる神あれば拾う神ありだが、再度捨てられる神もある。ニコニコ堂と壽屋の元社員らが2002年7月設立したフレンズマートは、八代市と松橋、泗水両町で営業していた3店鋪をわずか半年足らず(2003年1月まで)で閉店に追いこまれた。

そして拾われなかったか拾わせなかった神が残る。自社物件に残った店鋪を壽屋破綻前から営業していたカリーノ天文館(鹿児島市)にコンセプトをあわせる形でファッションビルにする。これがすでに開業されたカリーノ下通(熊本市)と開業予定のカリーノ宮崎である。ようするに旧セゾングループの「パルコ(イタリア語で“公園”の意)」と同業形態になると思ってよい。かわいいプチ・パルコである。2)

となればカリーノの戦略は、パルコのそれと重なるのが本来は自然であろう。カリーノ本社が置かれる熊本は、九州の他都市にくらべても東京からの先端文化導入が早い街である。熊本パルコのオープン(1986年)以前から、地元資本によるインポート・ブランド・ショップが多く開店していたことでもわかる。肥後のわさもん(新しいモノ好き)気質というべきか、しかしもっこす(頑固)気質もある。矛盾をいえば文化導入は文化の植民地化と同義である。その意味で東京資本であるパルコが持つメディアとしての受発信能力に太刀打ちすることはできない。むしろ丸井、東急109のようなフォロワー戦略を採用する方がカリーノにとって妥当であろう。もちろんそこまで戦略をつめているかは不明であるが。

参考URL
現在はカリーノ天文館のみ:カリーノ

1)壽屋から:社名変更、並びに本部移転のお知らせ
2)熊本日日新聞から:壽屋 再生法申請


■あなたはドイツ流、それともイタリア流?[ 2003年02月17日 ]

燕市の金属洋食器を例にとって地場産業の今後のあり方について考える。

(引用記事開始)
遠藤製作所、3月にもジャスダック市場に上場 (日経)
【甲信越】2003/02/04
ゴルフクラブヘッド製造の遠藤製作所(新潟県燕市、小林健治社長)は3月にも、ジャスダック市場に上場する。主幹事証券は野村証券。新潟県内企業の上場は昨年2月のセコム上信越以来で、上場企業数は41社になる。上場でタイでの新工場建設費をねん出する。国内のゴルフクラブ需要が頭打ちとなる中、コスト競争力を強め米国向けを拡大する。
引受先は野村証券、大和証券SMBC、みずほ証券、三菱証券、東海東京証券、新潟証券、丸福証券などを予定している。投資家の希望価格などに基づき発行条件を決めるブックビルディング方式で公募・売り出しにあたる。同社は約10億円を投じ、タイのチャチンサオにある金属製ウッドの工場を移転・新築する。現工場は老朽化しており、アイアン工場のあるバンコク市に最新鋭設備を備えた工場を設ける。生産効率の向上へ、バンコク市であればより優秀な現地労働者を集めやすいと判断した。現工場は遊休資産とする。
(引用記事終了)
江戸時代以来の伝統によって産業集積を形成している地域は多い。新潟県の燕市も和釘の伝統を生かして金属洋食器の一大生産・輸出地となった。その後の円高にともなっての内需拡大・海外移転の経過をたどったのも他の輸出依存の地場産業を抱える地域と同様である。地場産業を抱える地域にとって、資金需要が旺盛な企業は海外工場を優先してしまう現状をかんがみれば、内需拡大のためのブランディングは不可欠になってくる。

そうなるとふたつのやり方が考えられる。ひとつは品質重視のブランディング。もうひとつはデザイン重視のブランディングである。言い換えるとドイツ流か、イタリア流か、ということではないだろうか。燕市の金属洋食器から類推したふたつの流儀に軽く触れてみる。

ドイツの刃物というとゾーリンゲンにあるヘンケルス社が有名である。その製品はいかにもドイツ人らしい職人気質の質実剛健さをアピールしている。同じ職人気質のある日本人にはこのアプローチの方がブランディングしやすいのだが、刃物や金属洋食器は技術的なブレイクスルーがあまり期待できない。逆にいえば中国からの追い上げは技術面ではそれほど心配ない。かつてのカメラ、時計のようにドイツやスイスのメーカーを一眼レフやクオーツで凌駕したようなチャンスの可能性は低いので、技術的アプローチからのブランディングにもまだ余裕があるからだ。ではむしろ日本人には不得意とされるデザイン的アプローチからのブランディングはどうなのか、続けて触れてみたい。

イタリアのキッチンウェアメーカーにアレッシィ社がある。デザインと機能性を両立させた製品は魅惑の的であるが、このアプローチを日本の地場産業に適合させていくにはいくつかの障害が出てくる。生産技術重視と品質重視の姿勢から、デザインに理解のある環境づくりとマーケティングの重要性を認識することが求められる。

デザインにおいては、短期的には外部のデザイン資源(デザイナー)を活用することからはじめ、中期的にはデザインスクールの設置で人材の育成に努め、長期的にはデザインに親しみやすい生活環境を整備していくのが、地場産業には望ましい。もちろんデザインに親しみやすい環境というのは歴史的な文化遺産の多い地域が有利なことはいうまでもない。イタリアで優れたデザイナー・デザインに優れたメーカーが輩出しやすいのは街を歩けばそれらの遺産にすぐにでも触れられるからである。日本でのそういったアプローチは文化の蓄積がある京都や金沢が先行していくと思われる。

マーケティングにおいては、雑貨・インテリアショップが注目される。短期的には地場産業の有力企業でキッチン周りの雑貨を扱うショップを買収することで販路を拡大、中期的にノウハウを吸収することでマーケティングの人材を育成し、長期的に独自製品にフィードバックしていくのが望ましい。

ふたつのブランディングのアプローチに触れてみたが、ひとつの素材から垂直的に伸びるドイツ流と製品の使われるジャンルへ横断的に拡がるイタリア流では、地域全体への産業の裾野の広がりといった意味ではイタリア流の方が優れているように思われる。


■6年に1度きりなんて[ 2003年02月14日 ]

6年に1度しかない商売人泣かせのイベントでどう儲ける?

(引用記事開始)
善光寺「御開帳」商戦が本格化(日経)
【甲信越】2003/02/11
今春の善光寺(長野市)御開帳に向け、地元企業の商戦が熱気を帯びてきた。全国的な知名度もある一大行事を商機につなげようと、新商品や期間限定商品の販売に乗り出す企業が相次いでいる。13日には地元を代表する土産品発掘を目指す商業関係者のイベントも企画されている。
善光寺御開帳は6年ごとに、善光寺の秘仏「前立(まえだち)本尊」を公開する行事。今年は4月6日から5月末にかけて行われる。前回の1997年には550万人の参詣者が訪れた実績もあり、その経済効果に寄せる商業関係者の期待は大きい。
みそ製造・販売のすや亀(長野市)はフリーズドライ製法の即席みそ汁「ずくいらず」を2月下旬から本格発売する。自社製造の「門前みそ」を使った「甘えび」「エリンギ」「とき玉」の3種類を1個150円で販売。御開帳に合わせた土産商品の目玉として売り込む。
(引用記事終了)
6年とはまたマーケットの変化には絶望的に長い期間ではある。参詣者の多さに目を付けて新商品をリリースするのは、見本市みたいなノリではある。それでもやはり6年は長い。期間限定商品にしてもイベントが毎年あった方が知名度も商品力も上がるというものだろう。イベントは、オリンピックなどの世界的な規模のものはともかくとして、1年に1度が好ましい。

しかしこのイベントが宗教行事である以上、商売上の要請で回数や年度を変更するようでは、サン・ピエトロ大聖堂再建の費用ねん出のために免罪符を売り出した教皇やヴェネツィアの思惑で聖地ではなくコンスタンチノープルを攻略した十字軍と同じそしりは受けてしまう。

となると、マーケットの変化に左右されにくい保守的な分野に限定して商品戦略を考えた方が得策である。そして消費者の嗜好が保守的なのは食品分野であるのは間違いない。食品分野は、もともと地方ごとに特色を出しやすいうえに、和風から洋風へと食の嗜好が変わっていくにしても、それが長期的であるがゆえに地方の過小資本でも対応しやすい、という地方向きの利点がある。

食品分野にとって6年という歳月は、熟成期間である。そこで6年熟成みそ、6年もののワイン、ウイスキー、果ては焼酎、日本酒の6年仕込みというのはどうだろうか。6年ごとの善光寺御開帳当日に仕込みを公開して、その6年後に販売するサイクルをくり返せば6年ごとの行事との整合性が付き、客へのセールストークにも説得力が出るだろう。

参考URL
善光寺の門前に店を構える「門前みそ」の:すや亀


■コミュニケーションの海のタグボート[ 2003年02月13日 ]

大学教授が設立したITベンチャーは、GPS付き携帯電話を使いインターネットとは正反対の限定された情報を提供するサービスを構想している。そのキーワードが“スペースタグ”なのです。

(引用記事開始)
スペースタグ、地域限定の会員向け情報配信サービス(日経)
【四国】2003/02/06
香川大学工学部の垂水浩幸教授らが設立した情報技術(IT)ベンチャーのスペースタグ(高松市、増沢浩一社長)は6日、携帯電話の所有者が地域や時間を限定して会員向けに情報配信できるサービスを始める。文字に加え画像も送れる。KDDIの「au」の公式メニューとして提供し、9月までに会員10万人の獲得を目指す。
スペースタグが始めるのは、全地球測位システム(GPS)付きの携帯電話を持った人が会員に登録すれば、エリアを限定して別の会員へ一斉に自分のメッセージを配信できるサービス。情報は発信した会員の近くのエリアに入らない限り受信できない仕組み。
情報は最大7日間残すことができ、好きな時に配信を取り消せる。垂水教授は「場所や時間を限定して情報を送ることで、宝探しやクイズ感覚でコミュニケーションが取れる」と話す。
(引用記事終了)
携帯電話とはコミュニケーションツールである。ツールとして、コミュニケーションのためのソリューションを提供する。そのソリューションは、直接的なコミュニケーション機能、コミュニケーションを円滑にする機能に大別できる。

直接的なコミュニケーションをするためのソリューションには、言語を媒介する電話やメール、象徴的な言語としての写真、コミュニケーション手段としての対戦ゲームがある。ネット環境接続による予約・振り込み・その他情報は、コミュニケーションを円滑にするソリューションであり、待ち受け画面・着メロは、差異化をしつつ自分の好みを共有する人に指示される点でこれもまたコミュニケーションを円滑にするソリューションである。

ではGPS(全地球測位システム)付きの携帯電話を使用するスペースタグは、どのようなコミュニケーションのためのソリューションを提供するのだろうか。これにはスペースタグがいかなるものであるのかに触れなくてはいけない。また同じくGPSを使用する位置情報との違いを明確にしなければいけない。すなわち位置情報は、どのようにコミュニケーションのためのソリューションを提供するのか。またスペースタグは、どのようにコミュニケーションのためのソリューションを提供するのか、ということである。

スペースタグは、そのGPSで誘導された座標地点でしか手に入れることのできない情報である。それはだれかの残したメモや写真であったり、限定広告や着メロだったりするかもしれない。そこに到達したあとの情報だから、位置情報のあとの情報なのである。

位置情報は、コミュニケーションする場所を指示・誘導するソリューションであり、その場所に到達したときに価値が終了する。

スペースタグは、コミュニケーションするべき場所・であろう場所に配置・指定されているソリューションであり、その場所に到達するまでは価値が生じないか、または確認・判定できない。

スペースタグは、それ自体にコミュニケーションのためのソリューションであるという確信を持たせることができるかにその成否がかかっている。その確信への投企がつねに不安である可能性を考慮するならば、コミュニケーションの海で不安な人々を牽引するタグボートが必要ではないだろうか。

参考URL
HTMLのタグとは違う:スペースタグ
香川大学のサイト内にある:スペースタグの概要説明
スペースタグの考案および会社設立者:垂水浩幸教授


■“和洋折衷”から“遅速折衷”へ[ 2003年02月12日 ]

あんパン製造機ということでアンパンマンが大量生産されてコンベアから出てくるところを想像してしまったが、それはさておき有効活用法を考えてみよう。

(引用記事開始)
コバードがあんパン製造機、あんの手包み作業を機械化(日経)
【北陸】2003/02/07
大福などの食品製造機メーカー、コバード(福井県春江町、小林将男社長)は、あんパンなど丸いパンを自動で製造できる機械を開発した。パン生地は傷みやすいため、丸いパンを作る場合は手作業で具材を包むのが一般的だが、同社は生地を傷めずに包み込むシステムを構築した。
開発したのは新型包あん機「マジックハンド」。丸いシート状のパン生地に具材を落とし込むと同時に、生地を側面から袋状に包んで留める封着システムを採用した。従来の包あん機は円筒状にした生地の中心部に具材を入れ、切断する仕組みが一般的だったが、パン生地が傷みやすい欠点があった。
具材を瞬時に包むため、シチューなど液体状の具材を使ったパンも作れ、既存の生産設備に組み込むことができる。
マジックハンドは製造ラインが1列から8列までの4種類をそろえる。価格は1列の機械が1500万円、8列では1億円。
(引用記事終了)
ファーストフード的性格が強い菓子パン・調理パンの中で、「あんパン」は和と洋という対立する概念を折衷した明治期の文明開化を象徴するパンである。「あんパン」の製法が、和菓子のまんじゅうを参考にしていること(その形状や素材)からも容易に想像がつく。和洋折衷というのは対立する概念を克服して、連関したうえで発展する智慧であった。その智慧のとおり、包あん機もパンに限らず和菓子の生産にも役立ってきたし、引用記事の新しい包あん機を開発したコバードというメーカーも和菓子用具・機器の製造が創業である。

コバードの新しい包あん機は、シチューなどの流体を包み込むことができる。この新機能をどう商品開発に活かせるか、ということを和洋折衷から類推できないだろうか。

スローフードが、ファーストフードと対立する概念として提唱されて運動になっている。もちろんファーストフード側でもスローフードを取り込む動きがあって、創作スープのディア.スープのようにスローフード型ファーストフードともいうべき業態も誕生している。

そこでファーストフード的なパンに対立するスローフード的な要素を持ち込むため、ディア.スープのようなスローフード型ファーストフードと提携してパンをつくることでスローフード(遅)とファーストフード(速)という対立する概念を折衷した画期的なパンをつくることではどうか。いわば“遅速折衷”である。

かつて和と洋をひとつに包み込んだように、ふたたびパンの包容力を活かすべきである。

参考URL
包あん機のメーカー:コバード
スローフード型ファーストフード:ディア.スープ


■未来のイコン[ 2003年02月10日 ]

アルミ加工の丸信金属工業がインテリア向け・雑貨向けとなる新ブランド「Al art」を立ち上げた。需要減のすすむ従来のキッチンウェアや輸入品との競争を余儀なくされる低価格帯からの脱却をはかる試みである。

(引用記事開始)
丸信金属がインテリア・文具に進出、独自ブランド販売(日経)
【関東】2003/02/07
アルミ加工の丸信金属工業(栃木県足利市、小和田侑社長)はインテリア用品や文房具の独自ブランド品の製造販売に乗り出す。同社は、なべ・やかんなど家庭用品や空調機器用部品が主力だが、家庭用品の需要減と安価な輸入品の流入を受けて、新たな成長分野を開拓することにした。5年後に新事業で売上高1億円を狙う。
独自ブランド「AL art(アルアート)」で販売するアルミ製品は、花器、ポット(つぼ)などインテリア用品とテープカッターなどの文房具。製品にはアルミの質感を生かすため、同社のプレス成型やしぼり成型の技術を応用する。
プレス成型で作る花器用の受け皿「花かげ」は、柔らかい板に用いる型にあえて堅めの板をあててプレスして、表面にしわを作った。従来は不良品として処理されるしわを逆に生かして、光の陰や造形の美しさを楽しむ花器に仕上げた。
(引用記事終了)
日本のアルミ産業は、地金の段階から電解製錬にかかる電力コストがかさみ新地金の99%は輸入に頼っている。それに対してリサイクルによる再生地金は、新地金の半分にまで達している。その理由は、再生地金をつくるエネルギーが新地金の3%で済むからで、なるほどアルミ缶のリサイクルが盛んなのもうなずける。

現在アルミ缶の主流である2ピース缶は「ドロー&アイアニング缶(D&I)」とも呼ばれる。しぼり加工としごき加工が主要な加工であることからついた名前である。このドロー&アイアニング加工を機械は毎分350〜500缶のスピードでおこなえる。が、これが中国で生産されたらどうだろうか。アルミ製錬の電力コストと同日の談ではないが、あらゆるコスト高が海外生産比率を10年で倍増させている。いずれは技能レベルもキャッチアップの対象となる。日本国内で生産し続ける覚悟ならば、デザイン中心の芸術的アプローチが不可欠なのはうたがう余地がない。

ところでアルミ素材の持つイメージとはどのようなものであろうか。アルミ素材とその製品が持つイメージ(デザイン思想)に形而上のものが含まれるとすれば、どのように生成されているかを認識すること、どのようなデザイン機能で倫理性を保っているか、どのような用途で使われるか、どのような色・肌触りで感覚的な美しさを備えているかということを理解すればいいだろう。

1920〜30年代にかけてのアメリカン・アール・デコでは、車体の空気抵抗を押さえる流線形デザインが流行して銀色の光沢を持つクロームメッキ(この頃はまだアルミは少ない)が多用された。いつしかそれは、すべてがスピード化されたされた「来るべき世界のイコン」となり、その機能的要請を逸脱して単なる美的センスのために家電製品・建築物に多用された。

1950年代のミッド・センチュリー・モダンでは、第2時大戦後生産が本格化したアルミ素材が、これも戦後本格生産されたプラスティック素材と同様に使用されるようになった。ここでも光り輝くアルミには、未来的な視認性が付与されている。21世紀の今日では、ミッド・センチュリー・モダンは回顧されるべき未来のデザインである。それでもなおアルミには、消費される「未来のイコン」としてのモダンがどこまでも付きまとうといえるだろう。丸信金属工業の製品「花かげ」にあらわれる“しわ”は、もはや単純に未来を消費できない現代(コンテンポラリー)のあらわれと見るべきだろうか。

アート素材としてのアルミは、ミニマルアート、インスタレーションなどにも使われるであろうし、上記の「花かげ」は、先進性を重んじる草月流の生け花に活用できそうである。しかしアート素材としてのアルミにもっとも親近性を帯びそうなのはモノクロームの現代写真ではないだろうか。アルミのフォトフレームは、その光沢で永遠の「未来のイコン」を、はめ込まれるモノクロ写真で切片とされた未来を表現できると思う。それになによりフレームと写真でセット販売でいるメリットが出てくるだろう。

参考URL
「Al art」の製造販売元:丸信金属工業
アルミに関する資料が揃った:日本アルミニウム協会


■雑貨にはライフスタイルとなるストーリーがある[ 2003年02月07日 ]

アンテナショップというのは製品開発のフィードバックに使われることが多く、どちらかと云えば採算度外視だ。しかしショップというからには、はじめに製品ありきではなく『顧客がなにを欲しているか』ありきが正しいと思う。

でもそうなると顧客のライフスタイルから考えなくてはいけなくなり、自社製品や自分の県の特産物だけでは『顧客の欲しいもの』や『顧客のためのライフスタイル』を提供できなくなってしまう。

アンテナショップはそういうジレンマを抱えている。ひとつの会社ではまずもってむりだし、自分の県の特産物をライフスタイル含めたあらゆるカテゴリーで提供できるのは沖縄と京都ぐらいなものだろう。

(引用記事開始)
愛媛のタオル3社、東京にアンテナショップ設立(日経)
【四国】2003/02/04
タオル産地で知られる愛媛県今治市のタオルメーカー3社がこのほど、東京都港区白金台に自社製品を販売する店舗を開設した。3社共同で有限会社を設立、店舗を運営する。ショップと合わせて商談スペースや事務所を設けて各社の営業担当者らが利用する。3社共同で取り組むことで家賃や店員の人件費などの経費を抑える。
近藤繊維工業(近藤寛司社長)と池内タオル(池内計司社長)、藤高(藤高豊文社長)が共同で新会社ティー・エス・ピー(今治市)を設立。新会社が各社から商品を買い取る形式で販売する。店舗・事務所の総面積は約70平方メートルで、うち売り場が約40平方メートルを占める。
店舗運営の責任者のほか出資した企業の営業担当者が常駐する。各社とも東京への直営店舗出店は初めてで、消費者への販売を通して売れ筋を見極め、今後の製品開発や商品構成に反映する。東京出張時の活動拠点として販路開拓に生かす。
(引用記事終了)
このアンテナショップを開設するタオルメーカーのひとつ、池内タオルの製品にはライフスタイルを提案するだけのストーリーがあり、顧客に対する訴求力もある。1)

しかしショップで販売となるとタオル単体というわけにいかないのではないだろうか。むしろタオルの製品特性を考慮して、バス・トイレタリー・キッチン回りの雑貨を集めた店鋪をセレクト系ショップと合弁して開設する方が将来へ向けたブランド構築のためにもいいと思う。地方自治体のアンテナショップも同様で、店鋪販売による製品へのフィードバック機能を待つよりもセレクト系ショップなどに出向き製品企画提案を積極的に行う方が効果的だと思う。デパートの催事販売の実績を考えれば充分に可能だと思う。

そのときに重要なのは顧客がその製品にどんなストーリーを感じ、その製品をどんなライフスタイルのために使っていこうかということである。それらはどんなにちっぽけな雑貨にもつまっているものである。背景に膨大なストーリーやライフスタイルがあるほど製品には訴求力はあり、売りやすい。沖縄県物産公社の「わしたショップ」の成功には沖縄の豊穣な文化の背景があるというべきだろう。2)

参考URL
1) NHK 21世紀ビジネス塾から:
世界市場をめざせ第1回 タオル“輸出”で活路が見えた(02年07月20日放送)
2)沖縄観光ニュース ライブラリから:
「わしたショップ」 拠点方式による県産品のマーケティング(96年6月公庫レポート42号より)


■南国土佐のNo.1キャラは龍馬ではなくアンパンマン?[ 2003年02月06日 ]

今日は一村一品運動とマンガのキャラクターをどう結び付けるか、と云う話。

(引用記事紹介)
高知県の02年県外観光客2.2%増の516万人(日経)
【四国】2003/02/01
高知県は31日、2002年の県外観光客数(推計値)が前年比2.2%増の516万3000人だったと発表した。3年連続の増加で、ピークだった1997年の519万2000人に迫った。高知国体や高知自動車道の延伸、ごめん・なはり線開業、8月の好天などが寄与したと説明している。
月別の観光客数の前年比伸び率を見ると、10月の7.9%、9月の7.1%、12月の5.5%、11月の4.4%が目立った。人数が最多の8月も1.9%増えた。9月から10月までに断続的に開かれたよさこい高知国体による宿泊人員は関係者を含め4万2000人。11月のよさこいピック高知では選手団だけで4700人が来県した。
利用者数が最も多かった観光施設は2年連続でアンパンマンミュージアム(香北町)で、同8.0%増の20万6000人だった。
(引用記事ここまで)
本来脈絡なさそうなアンパンマンミュージアムがなぜ高知県にあるのか? と思う人もいるだろうけど、作者のやなせたかしさんの出身地だからというのが正解です。

兵庫県宝塚市の手塚治虫、鳥取県境港市の水木しげる、宮城県石巻市の石ノ森章太郎と漫画家の出身地であるというストーリーで地元と関連づけた記念館や名所づくりは最近盛んだ。マンガの強い訴求力を利用してのことなんだろうけど、なまじマンガの世界観に独自性があるために、地元との弱い関連性をどう合致させて強化していくかが課題になる、と思う。作品に土俗性の強い水木しげるならばそう問題もないだろうけど、アンパンマンとなるとかなりの難問。あんぱんは、土佐というより木村屋のモノだし。

この難問のヒントになりそうなのが大分県にある第3セクターで始まったハーモニーランドとサンリオのキティちゃんの関係。平松知事発案による“一村一品運動”の大分県だけあって特産のカボスや関サバ・関アジをあしらったキティちゃんが限定販売されている。ご当地キティの発祥地はおそらくここなのではないだろうか。

それを考えれば僻地(失礼!)に遊園地をつくって赤字をかぶったサンリオもマーケティングの面(“一村一品運動”のノウハウ)では大いに得るところがあったわけだ。ところが逆に地元では“一村一品運動”における産品に固執してノウハウを拡販するということは考え付かなかったのかもしれない。その土地で生まれたノウハウも目には見えないが確実に特産品であったのに。

参考URL
高知県香北町にある:アンパンマンミュージアム
宮城県石巻市にある:石ノ森萬画館
ご当地キティを企画・製造販売する:げんよう


■土産菓子で一獲千金[ 2003年02月05日 ]

土産菓子で一山当てればゴールドラッシュとは行かないけれどコンスタントに売上が期待できる打ち出の小槌になる(むしろその方がいい)という話。

(引用記事紹介)
フェスティバロ社、洋菓子の製造・販売を強化(日経)
【九州・沖縄】2003/01/23
サツマイモのレアケーキなどを販売するフェスティバロ社(鹿児島県鹿屋市、郷原茂樹社長)は洋菓子の製造・販売を強化する。今春に生産能力が2倍以上となる新工場を稼働させるほか、通信販売の組織を設置する。昨年末に北海道で販売も始め、国内主要都市に広める基盤が整ったため、全国展開を加速する足がかりとする。
同市に新設する工場は延べ床面積が1400平方メートル弱で、生産能力が月間50万個。女性を中心に人気が高いレアケーキの製造に特化し、現在使っている工場(同)は焼き菓子の製造拠点とする。投資額は3億5000万円。2003年8月期に全体の売上高を前期比4割増となる10億-12億円に引き上げる計画だ。
(引用記事ここまで)
さつまいものことを当の薩摩(鹿児島)では唐芋(からいも)という。唐(中華)から渡ってきたということなのだが実際は琉球(沖縄)を経ている。ところがそもそもの原産はアメリカだったりして、なるほどコロンブスの発見以後ぐるっと回ってきたというわけだ。

もちろん唐芋は今でも薩摩の特産で、それを原料にケーキを製造販売しているのが、引用記事のフェスティバロ社。土産菓子として認知されはじめており今後も安定的な成長が望まれるでしょう。手ごろな値段の菓子は、観光土産として最適であり味の良さが加われば“定番”として観光客に購入されやすい。三重県伊勢の『赤福』、北海道帯広の『マルセイバターサンド』(六花亭)、宮城県仙台の『萩の月』(菓匠三全)などが有名である。

観光スポットがある地方では、需要も把握しやすいし地元に有望な企業があれば、積極的に育成するべきだと思う。もしも有望な企業がなければ有名パティシェを招くなど外部資源の導入をはかるのもいいと思う。ただし観光スポットがないと、成長した企業は外部に店鋪を拡げてしまい還元率が薄まってしまう。観光スポットをどうつくるかはまた別の話。

参考URL
鹿児島特産の唐芋ケーキ:フェスティバロ社

※『(カッコ内の)商品名』は各社の登録商標です。


■21世紀の丁稚奉公[ 2003年02月04日 ]

「ぼく、起業家になるよ」という子どもがいるのか?
素朴な疑問。それに習い事とは、イヤイヤやらされるものというのが子どもの世界における黄金定理のような気がするが。

(引用記事紹介)
アントレ・ラボ、小学生対象の起業塾(日経)
【関東】2003/02/01
教育ベンチャーのアントレ・ラボ(宇都宮市、秋沢宏之社長)は8日、宇都宮市で小学5、6年生を対象とする起業塾「V―Kids(ブイキッズ)」を始める。経済や会社の仕組みについて解説し「小さいころから金銭感覚を身に付け、将来の進路決定に役立ててもらう」(秋沢社長)のが狙い。
教育サービスを展開するセルフウイング(東京・新宿、平井由紀子社長)が開発した教材を使う。授業は1回90分で、第2、4土曜日に計20回開く。会社設立の方法や企業が販売価格を決める仕組み、客の関心を引く工夫などについて教える。最終回は宇都宮商工会議所などの協力を得て、地元の催事に受講生が企画した模擬店を出す。
アントレ・ラボは2002年8月の設立。秋沢社長は足利銀行に約20年勤めた。栃木県産業技術振興協会への出向中にベンチャー支援事業にかかわり、人材育成の重要性を感じ、起業塾を始めることにしたという。
(引用記事ここまで)
塾の費用を出すか出さないかの権限を持つ世のお母さんたちはこの起業塾に子どもを通わせるのだろうか? 起業の本質が、ベンチャー(冒険)にあるとしたら男性に比べて現実的な女性が自分の子どもを通わせようなんて思わないだろう。それにスポーツや音楽、バレエと違って親の夢の代償として子どもに託すようなジャンルでもない。

地元のサポートを受けて実地教育のため店鋪を開くとなると新しい丁稚奉公のような気がしないでもない。むしろ親子2代で雑貨店を開くようなプランのほうが女性(お母さん)には受けるかもしれない。

お母さんが張り切りすぎて子どもをこき使ったりして・・・
それは子どもの人権侵害でまずいよね?


■あなたの一票を合法的にお金に変える方法[ 2003年02月03日 ]

政治も有権者(顧客)に対するサービス産業である、という視点から見直せば、顧客の欲しいもの(政策)をいかにして提供するかが重要になる。そう考えるとお金を持っている、または利権を持っている有権者(顧客)の方を自民党の政治家が優先するのも当然だったりする。

富裕層を中心に互いの利権のやりとりを仲介して儲けるのが保守で、低所得層から広く票を稼いで福祉で還元するのが革新というわけだ。
「政治は清く正しく美しく」
というのは幻想ってのがよくわかるよね。
むしろ政治で金儲けをするということを真正面から取り組むべきだ、と思う。

なにしろ選挙という需要は、日本が独裁国家にならない限り永遠に続くのだから。しかも参議院だったら選挙時期が決まっているから需要の予測もしやすい。そういった意味では参議院も廃止論者もいるけど存続すべきかもしれない。いやもちろん解散などの変動情報だって機敏にとらえる企業にはビジネスチャンスである。選挙前は日々一刻変わる情報を判断してどう支持率を上げていくかが当落の分かれ目になるからだ。

選挙ビジネスこそ政治という商売の醍醐味であり、情報収集と判断こそ選挙ビジネスのキモなのである。

そこでこの記事を引用してみた。

(引用記事紹介)
ヒトミシステム、選挙用データ管理ソフトを開発
【東北】2003/01/24(日経)
選挙活動も情報技術(IT)が決め手――。ソフト開発のヒトミシステム(福島県須賀川市、人見栄喜社長)は選挙運動に役立つデータベース管理ソフト「票田耕(ひょうでんたがやす)君」を商品化し、2月1日に発売する。選挙区内のどの世帯が支持者か、どの地域で知名度が浸透していないか、といった情報をパソコン画面の電子地図上に色分け表示する。
全国の選挙事務所向けに販売する。後援会の会員名簿など手持ちのデータをあらかじめ入力し、運動中に入ってくる情報を加味して情勢分析に役立てる。有権者の支持度合いなどは電子地図上に赤や青など八段階に色分けして表示する。
地図をクリックするとその家の連絡先なども確認できる。価格はソフトを組み込んだパソコン、印刷機など一式で200万円。
(引用記事ここまで)
ではもう少し政治と情報について掘り下げてみよう。政治に関する情報がビジネスになる実例というと、民放テレビの選挙速報番組などがそう。その番組制作の基礎になるのが各種の世論調査ということ。新聞やテレビのメディア自身で調査する場合もあるけれどたいていは調査会社に委託する。各種調査会社は調査データを製品として新聞社やテレビ局に納入することで対価を得るわけだ。

最近ではネット上の各種調査会社も出てきた。そのなかには政治や選挙に特化した世論調査会社のサイトも当然ある。これらの世論調査会社のサイトは、政治的な立場を旗幟鮮明にしている新聞の世論調査に比べて設問内容も中立を指向している(今後経営資本などが変わればわからないが)のでより正確な情報が入手できそうだ。

今のところ世論調査の情報を購入するのに政党も含まれているかは不明だ(あるいは政党は広告代理店に一括契約してるかもしれない)が、普通の企業では顧客のあらゆる情報を収集して分析して製品・サービスの開発につなげるように政党でも有権者のあらゆる要求を政策・法律の立案につなげてほしい。

そうすれば有権者の要求が凝縮された一票の紙切れも、より政策としての実現性を持ち、また合法的に情報という製品として流通することができるというものだ。

参考サイト
ネットによる調査専門の草分け:インフォプラント
選挙情報専門のサイト:Election
各種世論調査のサイト:VOTEジャパン


■ぼくらはお菓子でセンス・オブ・ワンダーを味わう[ 2003年01月31日 ]

最近『ばかうけ』という米菓で業績をのばしている栗山米菓のニュースから始まりスナック菓子・駄菓子のブランディングに必要なのはなにか? 簡単にまとめました。

(引用記事紹介開始)
栗山米菓、営業子会社を統合(日経)
【甲信越】2003/01/28
栗山米菓(新潟市、栗山敏昭社長)は4月に東西の営業子会社を統合、営業子会社を一本化する。組織を簡素にして社長と全営業職員が直結する体制を構築、各職員の責任体制を明確化する。同時に、同月から全営業職の給与を年俸制に改め、意欲を向上させるとともに、経営者と同じ視点・発想で仕事を進める環境づくりにつなげる。
栗山米菓は現在、北海道、東北、新潟、関東など東日本エリアの営業を担当する栗山米菓東日本販売と、近畿、九州など西日本エリアの営業を担う栗山米菓西日本販売の二つの販売子会社を抱えている。
4月1日付で西日本販売を東日本販売に吸収合併させる。新社名は栗山米菓販売にする予定。総務、人事など間接部門は栗山米菓本体が担当する。合併に伴う人員削減はしない方針だ。
(引用記事ここまで)
栗山米菓のある新潟県はいわずと知れた米の名産地でその加工食品のお酒や米菓の名産地でもあるのは当然の経緯ですね。新潟県発祥の菓子メーカー大手(ナショナル・ブランド)といえば「亀田製菓」と「ブルボン」を思い浮かべるのが普通。この2社が米菓のシェアを大部分握っていることを考えれば、栗山米菓の全国市場への参入(ナショナル・ブランド化を目指しての動き)は最後発ゆえの有利な点はむしろほとんどなかったに違いない。

じゃあ、栗山米菓はどんな方法を使ったんだろうか。

子供のころ駄菓子屋に通った経験は誰にでもあると思う。
今ではコンビニが駄菓子屋代わりになっていて、昔懐かしいおやつカンパニーの『ベビースターラーメン』、やおきんの『うまい棒』が並んでいる。
もちろん、昔ながらのものだけでなくフルタ製菓の『チョコエッグ』、タカラの『チョコQ』など現在の食玩はおまけの範疇を飛びこえて主客転倒なほど洗練されていたりする。

これは造型担当の海洋堂の仕業なのですが、このへんから子供に限らずぼくらがスナック菓子・駄菓子を買う・食べる基準が見え隠れしてくる。
ようするにぼくらはスナック菓子や駄菓子でセンス・オブ・ワンダー(ワクワクドキドキ感)を味わいたいために買うんじゃないかなと、思うわけです。

お菓子だから味は重要だけど「うまい!」中に「面白い!」というフレーバーがある。
湖池屋の『カラムーチョ』は考案者が食べた激辛味を他のヤツにも味あわせてやろうという遊び心(意地悪含む)の典型だろうし、『うまい棒』はいかにも味覚を損ねそうなのにハマってしまう(中毒か?)。

味・食べ方・パッケージ(キャラ含む)のすべてにセンス・オブ・ワンダー兼ね備えてスナック菓子・駄菓子の王道を行くといえる。でも実際はすべて兼ね備えているというのはあまりない。どれかひとつを極めればあとは付いてくるものだからそれでもいいんだね。

そこで栗山米菓さんに話を戻してみると、主力商品の『ばかうけ』にちなんでサイトのアドレスがbaka.ne.jpでした。サイトでは米に手足を生やしたキャラがとぼけています。この気合いの入ったボケ加減は見事というほかなくセンス・オブ・ワンダーが伝わってくるじゃないですか。
栗山米菓は『ばかうけ』で今後も成長路線だと思います(ヨイショか?)。
もっとも『ばかうけ』の味に、ぼくはあまりセンス・オブ・ワンダーを感じないことを正直に白状します。ぼくは亀田の『ハッピーターン』のあの粉にハマって(中毒?)いるので。

このへんのセンス・オブ・ワンダーにいまだプライベート・ブランドを余儀なくされている中小菓子メーカーさんの飛躍のヒントが隠されていると思う次第です。

※『(カッコ内の)商品名』は各社の登録商標です。


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